2006 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素誘導性転写因子(Hifー1)の発現調節による抗血管新生療法の開発
Project/Area Number |
18658114
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥田 潔 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (40177168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ACOSTA Tomas J. 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (80379718)
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Keywords | Hif-1 / 血管新生 / アポトーシス / 黄体 / 抗血管新生療法 / 低酸素環境 / 血管内皮細胞 / 細胞内シグナル |
Research Abstract |
本研究の目的は、黄体における血管のアポトーシス誘導法について生体レベルまで検証し、癌をはじめとする様々な難治性疾患における新規な血管新生制御法を開発することにある。申請者らはこれまでの予備実験において、血管新生の盛んな形成初期の黄体にHif-1(低酸素環境において機能を現す転写因子)の発現が高いことを発見し(未発表)、形成初期の黄体において低酸素環境誘導性の血管新生が起こっている可能性を見出した。本年度は、これらの予備データを確認し、基礎的研究成果を挙げることに注力し、(1)ウシ黄体における発情周期を通じたHif-1αおよび血管内皮増殖因子(VEGF)のmRNA・タンパク発現、(2)培養ウシ黄体細胞におけるHif-1αおよびVEGF発現におよぼす低酸素環境の影響、(3)ウシ黄体内血管内皮細胞の単離、継代および凍結保存法について検討した。 その結果、(1)ウシ黄体におけるHif-1αmRNAおよびタンパク発現は黄体期初期および黄体形成期において有意に高かった。また、VEGF mRNAおよびタンパク発現は黄体退行期において最も低かった。(2)低酸素環境は黄体細胞のHif-1αタンパク発現、VEGF mRNAおよびタンパク発現を増加させた。以上より、ウシ黄体の形成に低酸素環境によって誘導される血管新生の関与することが明らかとなった。さらに、(3)においてはウシ黄体内血管内皮細胞の単離法を確立するとともに、継代10代までは細胞の機能に影響を及ぼさない継代・保存方法を確立した。 (1),(2)の成果は、平成19年1月に岡山大学で開催された生殖生命科学シンポジウム"いのちをつなぐしくみ"において発表し、現在、生殖科学の専門誌Biology of Reproductionに投稿すべく準備中である。また、(3)の成果は生殖科学の専門誌Jouural of Reproduction and Developmentに掲載が決定している(研究発表参照)。現在、Hif-1の発現調節機構を明確にし、血管内皮細胞におけるアポトーシス誘導モデルを作出しつつあり、新年度にむけて「新しい血管新生制御法の開発」の準備を進めている。
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Research Products
(1 results)