2007 Fiscal Year Annual Research Report
高効率加圧・熱溶媒分解によるバイオマスの生分解性プラスチック化
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18658132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂 志朗 Kyoto University, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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Keywords | 超臨界流体 / バイオマス / 高効率液化 / 加溶媒分解 / プロトン性溶媒 / 生分解性プラスチック / 熱可塑性バイオ樹脂 / 熱硬化性バイオ樹脂 |
Research Abstract |
石油などの化石資源から作られるケミカルスや合成プラスチックは、工業、農業、生活、医療などあらゆる分野に必要不可欠な素材であるが、化石資源の枯渇と地球の温暖化が深刻化するにつれ、これらをバイオマスから体系的に生産することが強く求められている。一方、21世紀の科学を切り拓く新たな化学反応場として超臨界流体が注目を集めており、特にプロトン性溶媒が超臨界状態となることでイオン積が増大し、加溶媒分解能が付与されることが知られている。そこで本研究では、このような超臨界流体のもつ加溶媒分解能を活用して、バイオマス廃棄物などを無触媒で効率的に可溶化させ、得られた液化物から溶媒を除去した木質分解物を用いて新規なバイオプラスチックを創製することを試みた。 まず、当研究室で開発済みのバッチ型及び流通型の超(亜)臨界流体処理装置を用い、その特性を引き出しながら、種々のアルコールを用いた超(亜)臨界状態でのバイオマスの高速・高効率の加溶媒分解を試みた。その結果、特にオクタノールを用いた液化物で、溶媒を除去した分解物から熱可塑性バイオ樹脂が得られた。さらに、グリセロールを用いて液化した木質分解物にエポキシ基を導入することで熱硬化性バイオ樹脂が得られることを明らかにした。 これまでの超(亜)臨界流体技術によるバイオマスからのバイオ燃料や有用ケミカルスの研究では液化に主眼がおかれていたが、本研究では、加溶媒分解によるバイオマス成分の化学修飾に注目しており、高分子状態のまま熱可塑性を有する組成へと変換する点に特徴がある。今後、バイオマスを構成するセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの超臨界流体による加溶媒分解での化学修飾状態を精査し、その化学修飾液化のメカニズムを明らかにしながら新規な生分解性バイオプラスチックの創製を進めていく。
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Research Products
(11 results)