2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索ガイダンス分子、セマフォリンの新しい情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
18659022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 Kyoto University, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Keywords | Semaphorin / エフリン / EphA4 / α-chimerin / Rac / 運動神経 / 神経軸索 / GAP |
Research Abstract |
神経回路は、特異な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。軸索は様々な軸索ガイダンス分子に導かれて伸長し、目的のターゲット細胞に到着し、複雑な神経回路を形成する。セマフォリンはその特異的な受容体、Plexinを介して軸索に反発作用を引き起こすことが知られている。我々は、これまでにSema4Dの受容体、Plexin-B1の細胞内領域がR-Rasに対するGAPを直接コードし、R-Rasの活性を抑制することにより、R-Rasによるインテグリンの活性化を抑制することにより、成長円錐の消失を引き起こすことを明らかにしてきた。一方、セマフォリンと並ぶ代表的な軸索反発因子であるエフリン-Eph受容体の細胞内情報伝達経路には未だ不明な点が多い。そこで、我々は運動神経の軸索投射を調節していることが知られている、エフリンB3-EphA4の情報伝達経路を解析した。EphA4の細胞内領域はチロシンキナーゼをコードしており、RhoAに対するGEFであるEphexin1がEphA4に結合し、リン酸化されて活性を発揮することが知られている。我々は、EphA4に結合する分子としてRacに対するGAPであるα-chimerinが結合することを見いだした。エフリンB3がEphA4に結合するとα-chimerinをリン酸化し、活性化してRacの活性を抑制することがわかった。また、このエフリンB3-EphA4によるα-chimerinを介したRac GAP活性は運動神経の軸索の反発作用に必須であり、α-chimerinが無いと運動神経の軸索投射に正常に行われないことがわかった。
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