2006 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβペプチドの分解および蓄積過程におけるアミノペプチダーゼAの役割の解明
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18659025
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩田 修永 独立行政法人理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 副チームリーダー (70246213)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / ネプリライシン / アミノペプチダーゼA / ピログルタミン酸 / 老人斑 / 遺伝子改変マウス / 病態モデル |
Research Abstract |
アミロイドβペプチド(Aβ)はアルツハイマー病(AD)脳で観察される老人斑の主成分である。Aβの蓄積はAD脳で観察される様々な病理変化の最上流に位置し、進行的な神経細胞の機能障害と脱落を起こす引き金になる。これまで研究代表者は、RI多重標識Aβ1-42をマウスに脳内注入し、in vivoでAβの分解メカニズムを解析することにより、中性エンドペプチダーゼの一つであるネプリライシン(NEP)が主要Aβ分解酵素として機能ことを明らかとしてきた。ネプリライシンはAβ1-42の内部配列中2箇所で切断を行うプロテアーゼであるが、さらに解析を進めたところ、ネプリライシンの活性が低下もしくは阻害された時にAβ分解の副経路として機能するプロテアーゼとしてアミノペプチダーゼ(APA)が関与する可能性を示唆する知見を得た。APAはペプチドのアミノ末端側から一残基ずつ切断を行うプロテアーゼである。これらの知見により、1)APAは脳内NEPと協調的に働いて効率よくAβを分解する。または逆に、2)ヒト脳で蓄積する主要な蓄積型Aβ、Aβ3pyroE-42の産生へ関与し、AD病理を加速するように機能することが推定された。そこで、本研究では先ずAPA欠損マウス、およびNEP欠損マウスと交配した二重欠損マウスを作成し、脳内の内在性Aβ量の測定を行った。その結果、APA単独の欠損マウスでは脳内Aβ量の変化は認められなかったが、NEPおよびAPA二重欠損マウスでは、NEP単独の欠損マウスに比較し脳内Aβ量が低下することを見出した。この結果は、上述の2)の仮説を支持する可能性が高い。脳内Aβ3pyroE-42の産生と蓄積を解析し、この仮説の可能性を追求するために、現在変異型アミロイド前駆体蛋白質トランスジェニックマウスとの交配を進めている。
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Research Products
(5 results)