2006 Fiscal Year Annual Research Report
副互変異性構造に基づく生物活性発現の機構解明と創薬化学への応用
Project/Area Number |
18659026
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹内 義雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (20111750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 朋也 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (70361962)
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Keywords | 副互変異性 / フッ素 / 安定型等価体 / セロトニン受容体作動薬 / インドレニン / ピロロ[2,3-b]インドール / ジエノン / バルビツール酸 |
Research Abstract |
我々は,生理活性物質の或るものは,生体内において副互変異性体が真の活性種となっているのではないかと考えた.この仮定の検証を目的として,今回,以下に示すように互変異性に関与する水素をフッ素に置換した安定型等価体の合成を行った. 1.我々は既にSelectfluorによるインドール類の酸化的フッ素化反応を用いることにより,トリプトファンおよびメラトニンのインドレニン型副互変異性体の含フッ素等価体の合成に成功している.今回セロトニン受容体作動作用を示すインドール類について同様のフッ素化を行ったが,目的の含フッ素等価体の収率は極めて低かった.この結果がインドール側鎖に存在する窒素原子の塩基性が高いことに起因していると考え,条件検討を行ったところ,酸を添加することにより収率を劇的に向上することができた. 2.トリプタミン類は,ピロロ[2,3-b]インドール体としても副互変異性体として存在しうる.今回トリプトファンについて,その含フッ素等価体である3a-フルオロピロロ[2,3-b]インドール体の合成を検討した.アミノ基およびカルボキシル基が保護されたトリプトファンを無水アセトニトリル中,Selectfluorで処理したところ,良い収率で対応する3a-フルオロピロロ[2,3-b]インドール体が得られた.現在,得られた化合物の脱保護を検討している. 3.チロシンのジエノン型副互変異性体の含フッ素等価体の合成を目的として,種々の保護基を持つチロシンをSelectnuorでフッ素化し,対応するフルオロジエノン体を得た.しかしながら,得られたフルオロジエノン体の脱保護は不成功に終わった.そこで,チロシンのフェノール構造を5-フルオロバルビツール酸構造に置き換えた化合物を合成容易な候補として設計し,3-位にフルオロマロン酸エステル部を持つアラニン誘導体を合成した.現在,尿素との縮合による目的物の合成を検討している.
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