2006 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質リン酸化調節因子の迅速かつ簡便なスクリーニング法
Project/Area Number |
18659030
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 透 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (90186586)
|
Keywords | キナーゼプロファイリング / リン酸化調節因子 / 電気泳動法 / キナーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
タンパク質のリン酸化は,シグナル伝達,細胞周期の進行,遺伝子発現の制御などの多様な生命活動に関与している。生体系のおけるリン酸化シグナルの異常は,癌,神経疾患,代謝性疾患など様々な疾患の原因となっていることが明らかとなり,リン酸化調節因子の研究は,疾患の予防や治療にとってますます重要になっている。本研究は,タンパク質のリン酸化調節因子(キナーゼ阻害剤やフォスファターゼ阻害剤など)の網羅的なスクリーニングを迅速かつ簡便に行える創薬研究技術の開発を目的としている。本年度は,申請者の研究グループが開発した「基質タンパク質とそのリン酸化タンパク質の同時定量分析を可能にするリン酸アフィニティー電気泳動法」を用いた新しいキナーゼ阻害活性プロファイリング法の研究を行った。まず始めに,そのリン酸アフィニティー電気泳動法に適したAblキナーゼの基質(基質ペプチドを有する人工タンパク質:GST-融合タンパク質)を培養細胞を使って単離精製した。次に,既存のAblの阻害剤(グリベック)の共存下でAblキナーゼ反応を一定時間行い,リン酸アフィニティー電気泳動法で得られたタンパク質を分離定量した。この時,リン酸化された基質とリン酸化されていない基質は,電気泳動ゲル上で2つのバンドとして検出された。その結果,グリベックの濃度の増加とリン酸化反応の阻害量との関係を,理想的なシグモイダル阻害曲線として得ることができた。この新しいキナーゼ阻害活性プロファイリング法は,通常の実験室で簡単に行える画期的な方法である。
|