2006 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類キメラ酵素を用いた環境中化学物質の代謝に与るグルクロン酸転移酵素の機能解明
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18659032
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成松 鎮雄 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (20113037)
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Keywords | グルクロン酸転移酵素 / カニクイザル / ヒト / キメラ酵素 / 光学活性基質 / プロプラノロール / エトドラグ |
Research Abstract |
光学活性基質propranolon(PL)及びetodolac(ED)を用いて、まずヒトとカニクイザル(以下サル)の肝ミクロゾーム(以下Ms)によるグルクロン酸抱合反応を検討した。PLグルクロン酸抱合反応のEadie-Hofsteeプロットを用いた速度論的解析において、R-PLはヒトでフック型、サルで一相性、S-PLはいずれも一相性を示した。肝MsのV_<max>値はいずれのエナンチオマーでもヒトに比べてサルの方が有意に高かったが、基質エナンチオマー選択性は認められなかった。ヒトUGT発現異種細胞Msを用いた速度論的解析及び阻害試験から、ヒトではUGT1A9、UGT2B4及びUGT2B7が抱合活性を示し、特にUGT1A9の寄与が大きいと考えられた。EDグルクロン酸抱合反応の速度論的解析において、ヒト、サル共に二相性を示し、Low-K_m相、High-K_m相いずれもS選択性であった。Low-K_m相のK_m値は両エナンチオマーでヒトに比べてサルの方が有意に低く、R-体のin vitroクリアランス値はヒトに比べてサルの方が有意に高かった。ヒトUGT発現異種細胞MsによるEDグルクロン酸抱合反応にはUGT2B7(R-ED及びS-ED)及びUGT1A9(3-ED)が重要な役割を担う可能性があることから、ヒト及びカニクイザルの肝臓total RNAからRT-PCRによりそれぞれヒトUGT1A9及びカニクイザルUGT1A09をコードするcDNAクローニングを行った。得られたcDNAはいずれも1593bpの翻訳領域から構成され、530残基のアミノ酸をコードしていた。ヒトとサルの推定アミノ酸配列における相同性は93.2%であった。これらのUGT酵素タンパク質を酵母細胞に発現させ、現在、環境中化学物質を基質として酵素機能を詳細に比較検討しているところである。
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