2006 Fiscal Year Annual Research Report
接触感作促進作用を有する化学物質の侵害刺激受容チャネルに対する効果
Project/Area Number |
18659033
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
今井 康之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80160034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒羽子 孝太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90333525)
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Keywords | 接触性皮膚炎 / フタル酸エステル / TRPチャネル |
Research Abstract |
フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)をハプテンとする接触性皮膚炎マウスモデルでは、アセトンにフタル酸ジブチル(DBP)を添加した溶媒が経験的に用いられてきた。DBPにFITCの感作を促進するアジュバント活性を認めてきたが、今回様々な種類のフタル酸エステルで比較検討した。DBP,フタル酸ジプロピル(DPP)、フタル酸ジエチル(DEP)に接触性皮膚炎の感作促進作用を認めた。DBPとDPPは、FITCを提示した樹状細胞(CD11c陽性)が皮虜局所から所属リンパ節に移動することを促進した。DBPの作用が知覚神経刺激と関係するかどうかを調べるため、侵害刺激受容チャネルTRPV1のアゴニストのカプサイシンやTRPA1のアゴニストのアリルイソチオシアネートで皮膚局所を前処置して知覚神経をあらかじめ脱感作してから、DBP存在下FITCで抗原感作した。これらの前処置によってFITCに対する感作が抑制され、さらに皮膚局所からの樹状細胞の移動も抑制された。DBPによるTRP受容体刺激活性を直接調べるため、マウス脊髄の後根神経節から神経細胞を単離し、Fluo-4を用いて細胞内カルシウム濃度測定を行った。DBPは一部の神経細胞にカルシウム応答を惹起し、そのうち40%がカプサイシンにも応答性を示した。さらに、TRPV1を強制発現させたHEK293細胞を用いてDBPによるカルシウム応答を調べた。DBPは濃度依存的にカルシウム応答を起こすこと(ED50=5μM)、TRPV1を発現させていないHEK293細胞にはカルシウム応答を起こさないことから、TRPV1に対するアゴニスト活性があることが分かった。DPPにもDBPよりは弱いながら、TRPV1刺激活性を認めた。総括すると、フタル酸エステルによる接触感作におけるアジュバント作用機構の一端として、TRPチャネルへの刺激活性を直接明らかにした。
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Research Products
(3 results)