2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍効果に及ぼす腫瘍組織中トランスポーター発現の日周リズム
Project/Area Number |
18659041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 駿 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 教授 (40218699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家入 一郎 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60253473)
藤 秀人 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (90346809)
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Keywords | chronopharmacology / antitumor effect / cisplatin / MRP2 |
Research Abstract |
本研究では、腫瘍組織中MRP2発現及びGSH濃度、GST活性の日周リズムの検討を行った後、CDDPの抗腫瘍効果に投与時刻が影響するか否かについて検討した。さらにMRP2発現及びGSH濃度、GST活性の日周リズムとの関連について検討した。細胞膜上のhuman MRP2 protein発現量には17:00に最高値を、5:00に最低値を示す明瞭な日周リズムが認められた。このMRP2 proteinの日周リズムを基盤にCDDPの投薬時刻を5:00と17:00に設定し、投薬時刻の違いによるCDDPの抗腫瘍効果の影響を検討したところ、17:00投薬群が5:00投薬群と比較して有意に高い腫瘍増殖抑制を示した。その機序として、血液中タンパク非結合型CDDP濃度及び腫瘍中総Pt量について検討したところ、投薬時刻間で血液中CDDP濃度及び腫瘍中総Pt量に有意な差は認められなかった。さらにGSH濃度,GST活性についても5:00と17:00の間に有意な差は認められなかったことから、MRP2発現、GSH濃度、GST活性は投薬時刻の違いによるCDDPの抗腫瘍効果の変化に直接的な影響を及ぼしていないことが示唆される。腫瘍組織中に移行したCDDPのうち実際に抗腫瘍効果を示すのは、Hsp90などの重要な生理機能を持ったタンパク質やDNAと結合しているCDDPである。今回の検討では両投薬時刻間の腫瘍中総Pt量に有意な差異が認めらなかったが、DNA-Pt複合体や特定のタンパク質-Pt複合体の量が投薬時刻に違いによって変化している可能性がある。そこで今後、投薬時刻の違いによって腫瘍中の様々なPt複合体量が変化するか否か検討を行い、さらに腫瘍中でDNA-Pt複合体やタンパク質-Pt複合体の生成に影響するmetallothionein分子種、excision repaircross-complementing分子種等の発現に日周リズムが存在するか否か検討する必要があると考えている。
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Research Products
(1 results)