2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素群誘導におけるペルオキシソーム増殖薬活性化受容体アルファの役割
Project/Area Number |
18659043
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
本島 清人 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (70166338)
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Keywords | 脂質代謝 / PPAR / 薬物代謝 |
Research Abstract |
肝臓での脂質異化代謝調節の役割のみが強調されているPPARαが、小腸と肝臓において食餌負荷よるある種の薬物代謝酵素群誘導に必須の役割を果たしている、という我々が見出した現象の機構解明のために、その時起こる代謝変動と遺伝子発現の変化をメタボローム解析とアレイ解析によって調べている。 マウス肝臓抽出サンプル中の代謝物について、網羅的メタボローム解析を行った。2000数百種類の代謝物を定量解析した結果、正常食下では、野生型マウスとPPARαノックアウトマウスとの間では、代謝パターンの変化はまったく観察されなかった。この結果はPPARα欠損による表現型がほとんど現れないのは、代謝適応によって補完している訳ではなく、実験用飼料飼育下では、PPARαは何の働きもしていない(不要である)からであることを意味している。一方、植物種子(ゴマ)を餌として飼育すると、PPARαの発現ありなしに依存して代謝パターンが大きく変動することが明らかとなった。すなわち、PPARαは実験用飼料ではない植物性食餌負荷に対応するためには重要な働きをしていることを示している。現在、食餌負荷によって変動する代謝物の変化の詳細を解析している。 正常食と比較して、ゴマ食によってPPARα依存的あるいは非依存的に誘導される遺伝子転写の変化を捉えるために、野生型マウスとPPARαノックアウトマウスの小腸と肝臓の全RNAを用いて、mRNAのアレイ解析を行った。PPARαに依存して第1相、2相、3相の薬物代謝および酸化ストレス関連の遺伝子の発現変動が観察された。これらの変動をリアルタイムPCR法および抗体を用いたタンパク質レベルでの確認を進めている。 今後、これらの変化がどのような経路で起こり、そのどの段階にPPARαが必須の働きをしているか明らかにしていく予定である。
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Research Products
(5 results)