2007 Fiscal Year Annual Research Report
核マトリックスの微細構造の解明には新たな無包埋免疫電顕法確立が必要である
Project/Area Number |
18659049
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 尚武 Tohoku University, 医学系研究科, 教授 (20004723)
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Keywords | 無包埋切片電顕法 / 可溶性タンパク / ポリエチレングリコール / 網状微細構造 / クロマチン線維 / タンパク濃度 |
Research Abstract |
本研究代表者が開発改良続けてきた無包埋切片電顕法は、一過性包埋のポリエチレングリコールの脱包埋を完全に遂行することが方法論上の最後の課題であったが、脱包埋時の適度加温により解決出来て、電顕最終像の質が格段に向上・安定した。これまでの自身による本法での各種組織細胞の細胞質の観察から、小器官と既知細胞骨格線維と細胞膜との間の細胞内領域を占める可溶性タンパクが、その構成分子の如何に拘らずその総濃度に比例した密度の網構造を電顕上示すこと、及びその場のタンパクがゾルかゲルの状態により各々粗い網か密な網を連続して示すことを見出した。加えて、従来の電顕像ではこれらの網の電子密度がエポンのと大差無いので明瞭視出来ずに注目されなかったと結論づけた。これを踏まえて本研究で細胞核を精査した結果、クロマチンが密集したとされるヘテロクロマチン領域は、エポン切片上では高電子密度の略一様ないし密な粒子状の像を呈するだけだが、本法ではクロマチン線維に相当する太さのものが糸塊状になっているのが立体観察で確認できた。一方で、クロマチンが疎に配列するとされるユークロマチン領域は太さが多様な線維の網として本法では現れ、おそらくクロマチン線維であろう比較的太い線維が疎に配列して、より細い線維が前者の配列空隙を網状に占めていた。エポン電顕像で細胞種により明暗種々の程度を示す核に対応して、本法電顕像では各々が疎ないし密な網状を呈した。これらの結果から、生化学的な核内可溶性タンパクが細胞内のと同様に、その組成に拘らずに総濃度に比例した目の細かさ・密さを示す網構造を呈すると結論づけた。核内可溶性タンパクのいくつかの分子の抗体(京大竹安研の核網羅的解析により得た抗体各種)およびクロマチン構成タンパク抗体を用いて、免疫電顕的に上記の核内網構成線維のどの太さのものに夫々が局在するかを目下検討中である。
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