2006 Fiscal Year Annual Research Report
電気刺激を用いた多能性幹細胞からの心筋分化誘導法の開発
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18659072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金野 敏 東北大学, 加齢医学研究所, 寄附研究部門教員 (70372315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 照彦 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (00146151)
仁田 新一 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90101138)
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Keywords | 再生医学 / 発生・分化 / 移植・再生医療 |
Research Abstract |
平成18年度は間葉系幹細胞からの心筋分化誘導を検討するための準備として、必要となる実験系の構築をおこなった。 (1)培養細胞に対して電気刺激を効率的かつ定量的に与えるための電気刺激装置を開発するため、当初はガラスディッシュの表面にスパッタリングによって金属薄膜を形成し、その上で各種の細胞を培養して生着率などの評価をおこなった。その結果、線維芽細胞などでは従来のディッシュと比較して大きく劣ることはなかったものの、骨格筋芽細胞および心筋細胞の培養においては細胞の増殖に伴って接着性の低下が観察され、コラーゲンコーティングなどによっても改善がみられなかった。そこで次に、白金線を培養用ディッシュに平行に固定したものを作成し、これを滅菌したのちに骨格筋芽細胞を培養してパルス通電刺激をおこなった。その結果、両電極間に存在する分化した骨格筋線維はほぼ均一に収縮しており、また電界シミュレーションソフトウェアであるMaxwellを使用してディッシュ内の電界分布を検討した結果からも、両電極間にはほぼ均一な電界が存在していると考えられた。現在この細胞培養用ディッシュを使用して、脂肪組織由来間質細胞など各種の細胞に対して様々なパターンの電気刺激をおこない、細胞形態および遺伝子発現の変化を検討している。 (2)実際の細胞移植にあたって細胞の生着や拒絶反応の有無などを確認するため、凍結保存してある細胞を解凍したのち、DiIなどで染色をおこない実験動物の骨格筋および心筋に移植した。2週間、1ヶ月後に移植部位の組織を採取し、蛍光顕微鏡による観察で移植細胞の生着を確認した。 (3)今後の実験に備えるため実験動物であるラットおよびハムスターから各種の細胞(線維芽細胞、脂肪細胞、骨格筋芽細胞、心筋細胞など)の初代培養によって最適な培養条件の検討をおこなうとともに、凍結保存によるセルバンクの樹立をすすめている。
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