2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを用いた薬剤投与システムの開発による消化器癌の新しい治療戦略
Project/Area Number |
18659080
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
土田 邦博 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (30281091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 達也 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (90410737)
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Keywords | ナノテクノロジー / 抗がん剤 / 消化器癌 / ドラッグデリバリーシステム / ナノメディシン / リンパ節転移 |
Research Abstract |
ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合による新しい薬物送達系の開発を行った。カーボンナノチューブと構造が類似したカーボンナノホーン(CNH)は、直径約100nmのナノ粒子である。CNHに抗がん剤のドキソルビシンを貯蔵させ徐放させる基盤技術の開発に取り組んだ。水溶性高分子ポリエチレングリコール(PEG)と抗癌剤ドキソルビシン(DXR)の複合体PEG-DXRで表面修飾することにより、水溶性ナノ粒子(PEG-DXR-CNH)に改変できることを示した。さらに、ナノホーンに担持させたドキソルビシンのin vivo薬理評価を行った。ヒト非小細胞肺癌細胞株NCI-H460のヌードマウス皮下移植モデルで、PEG-DXRあるいはPEG-DXR-CNHを腫瘍内投与し、腫瘍体積の推移を観察した。バッファー投与群に比べて、PEG-DXRとPEG-DXR-CNH投与群を抗腫瘍効果を示したが、後者の抗腫瘍効果は前者と同等以上であった。評価終了後の腫瘍内残存ドキソルビシン量を定量したところ、PEG-DXR投与群では1%以下であったのに対し、PEG-DXR-CNH投与群では約60%も残存していた。従って、in vivoにおけるPEG-DXR-CNHの高い抗腫瘍効果は、PEG-DXRをCNHへ結合させたことによるドキソルビシンの高い腫瘍内滞留性によってもたらされたと考えられる。また、CNHが転移性のリンパ節組織に集積する傾向があることが明らかとなった。今後、複数の抗がん剤を担持出来る高活性なナノ粒子の作製とそのin vivo評価に取り組む予定である。
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Research Products
(11 results)