2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の四肢形成におけるマイクロRNAの機能の解析
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18659081
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
古川 貴久 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 発生生物学部門, 研究部長 (50260609)
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Keywords | マイクロRNA / 肢芽形成 / let-7 / lin-41 / 非翻訳配列 |
Research Abstract |
我々は、ニワトリ胚の軟骨から抽出したRNAを材料としたPCRによるスクリーニングを進める過程で、マイクロRNA let-7のターゲットとして線虫lin-41のニワトリ・マウスでの相同遺伝子が肢芽にかなり特異的に発現を持つことを見いだした。 ニワトリ・マウスのlin-41のcDNAをライブラリースクリーニングにてクローニングした。いずれの遺伝子もRBCC蛋白をコードすると考えられ、そのアミノ酸レベルでの相同性は80%以上と非常に高度な保存が見られた。ノザンハイブリダイゼーションでは胚発生の初期(ニワトリでは2日目)に高い発現がみられ、発生段階がすすむにしたがいその発現は低下した。これらの結果から、lin-41が四肢形成に関与する機能を有すると考え、ニワトリの肢芽にRCASウイルスまたはエレクトロポレーションを用いた遺伝子導入を試みた。しかし、遺伝子導入による形態変化は観察することはできなかった。今後、遺伝子改変マウスの作製などの手法が考えられる。 線虫に存在するlet-7によるlin-41の3'側非翻訳配列に対する制御効果が、ニワトリ・マウスでも保存されているかを検討した。pGL3-ControlベクターのXba I部位にニワトリ・マウスlin-41の3'側非翻訳配列を挿入したコンストラクトを作製し、これをHeLa細胞(内在性のlet-7の存在がマイクロアレイなどで証明されている)に導入し、48時間後に回収、ルシフェラーゼ活性を比較した。いずれの種のコンストラクトの導入でも、コントロールに比べて有意な活性低下を観察した。この結果がlet-7による3'側非翻訳配列に対するものであるかを検討するため、let-7の認識配列と考えられる部分に変異を入れたコンストラクトを作製し、同様の解析を行ったところ、活性低下は軽減されるというlet-7の関与を支持する結果を得て論文として発表した(Kanamoto, et al.,2006)。
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