2007 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体の核外作用を介したアセチル化の制御とシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
18659083
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 浩太郎 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 医員 (30401110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 友彦 東京大学, 医学部・附属病院, 客員助教 (20334386)
井上 聡 東京大学, 医学部・附属病院, 客員教授 (40251251)
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Keywords | エストロゲン / 乳癌 / アセチル化 / 核内受容体 / 脱アセチル化酵素 |
Research Abstract |
エストロゲン受容体は、従来研究されてきたリガンド依存性の転写因子としての作用に加え、細胞質においてもリガンド依存性に即時型のシグナル伝達系の変化をもたらす。これは核外作用(nongenomic action)とよばれ、近年注目されている。本研究は、エストロゲン受容体が細胞膜近傍において細胞骨格蛋白であるtubulinおよびその脱アセチル化酵素であるHDAC6と会合し、tubulinのアセチル化制御に関わり、細胞の性質を変化させているのではないかという仮説を検証することを目的とした。 昨年度は、エストロゲン受容体とHDAC6の相互作用を示すことに成功した。さらにHDAC6のN末に2つ存在するdeacetylaseドメインのうちC末側およびエストロゲン受容体のC末のAF-2ドメインがそれぞれの相互作用に関わることを示した。この相互作用はリガンドにより調節を受けていた。 本年度は、乳癌細胞株MCF7を用いて、これら蛋白質の変異体を安定的に発現する細胞株を樹立し、機能解析を行った。その結果、変異蛋白を発現する株において、培養条件下で細胞運動能が変化し、tubulinのアセチル化が影響を受けていることが確認された。この細胞株をヌードマウスの皮下に接種し、in vivoにおける造腫瘍能を評価しており、これらの成果をまとめ論文発表する予定である。さらに、膜近傍における新しい結合蛋白等の同定も完了し、それら蛋白質の機能解析も進んでおり、上記とあわせ新しい乳癌治療の標的としての役割が期待される。
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