2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18659085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 智聡 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (50283619)
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Keywords | RECK / MMP / ADAM / Notch / Delta / シェディング / 神経幹細胞 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
我々がras癌遺伝子の拮抗的下流遺伝子として単離したRECK遺伝子の産物は、数種類の膜型メタロプロテアーゼの活性を阻害するだけでなく、ターゲット分子の膜上マイクロドメインへの局在をも制御することがわかった(JBC,2007)。RECKノックアウトマウスにおいて、Notchシグナルの減弱とそれに伴う神経幹細胞自己複製能の著しい減弱を発見した。さらに、 RECKがNotchリガンドであるDelta/Jaggedのシェディングを制御することを突き止めた。この機構の解明を目指し、多種類の蛋白分解酵素阻害剤をRECK-/-神経幹細胞に作用させたところ、 ADAM10を比較的特異的に阻害する薬剤が、その自己複製能異常をレスキューすることを突き止めた。この結果は、ADAM10 shRNAの導入によっても再現された。さらに、 RECK shRNAをin uteroで導入したマウス胚中枢神経系に現れた早熟分化をADAM10 shRNAがレスキューすることもわかった。DeltalおよびRECKの組換え体蛋白質をそれぞれ合成した。rRECKはrADAM10によるrDeltalの切断を用量依存的に阻害した。合成ペプチドを用いたアッセイにより、そのKiは15nM以下と計算された。以上により、RECKはADAM10の内在性の阻害因子であり、その活性故に、Notchシグナルのゲートキーパーとして機能することが示された(Nat. Neurosci. 2007)。マウス胚中枢神経系におけるRECKの発現は、神経幹細胞マーカーであるNestinのそれと一致する。 RECKコンディショナルトランスジェニックマウスとNestin-creマウスの交配による、RECKの過剰(遷延)発現は、 Notchシグナルのかく乱によると思われる小脳症を引き起こした。中神経系発生においてRECK発現が厳密に制御されることが重要であることがわかった。
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Research Products
(12 results)