2007 Fiscal Year Annual Research Report
MYC標的遺伝子MINA53のアスベスト刺激に対する生理的役割の解明
Project/Area Number |
18659091
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
馬田 敏幸 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 産業医学研究支援施設, 准教授 (30213482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常岡 誠 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (50197745)
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Keywords | mina53 / アスベスト / 中皮腫 |
Research Abstract |
a,アスベスト刺激でmina53タンパク質が増加する分子メカニズムの解析 中皮種細胞をアスベスト刺激したときのmina53の動向を調べた。悪性中皮腫の発生は,吸入したアスベストの種類によって差があることが知られている。クロシドライトが最も危険性が高く,アモサイトがこれに次ぎ,クリソタイルは前二者より低いとされている。そこで中皮腫細胞をクロシドライトで18時間刺激しmina53のタンパク量を調べた結果,H2052細胞ではmina53のタンパク質が増加したが,MESO-1細胞では減少した。このときmina53タンパクの細胞内存在部位を調べたが,クロシドライト刺激の前後で変化はなく核小体内に存在した。mina53タンパク質が細胞増殖に関与するのかを明らかにするために,mina53のcDNAを細胞に導入し,一過性にmina53を高発現させたときの,細胞増殖,タンパク合成等について調べた。その結果,細胞数,DNA合成,タンパク合成がともに亢進した。一方,siRNA法によりmina53の発現量を抑制したとき,DNA合成およびタンパク合成はともに低下した。これらの結果から,mina53は細胞の増殖にポジティブに作用することが示唆された。 b,mina53ノックアウトマウスの作製による,アスベスト暴露実験での悪性中皮種および肺がん形成の解析 mina53野生型,欠損型のマウスから初代培養胎児繊維芽細胞を確立し,アスベストで刺激した時のDNA合成およびタンパク合成への影響を調べた。その結果,クロシドライト,アモサイトともにタンパク合成量が60%程度に低下した。しかし,mina53欠損マウスでは,アモサイト刺激によるDNA合成の低下が見られなかった。これらのことから,アモサイト刺激におけるシグナル経路にmina53の関与が示唆された。
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