2008 Fiscal Year Annual Research Report
効率的な地域救急医療推進のための病院前重症度スコアの開発
Project/Area Number |
18659149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高鳥毛 敏雄 Osaka University, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (20206775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
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Keywords | プレホスピタル / 重症度スコア / 救急救命士 / 病院前医療 / トリアージ / 救急車 / 救急医療体制 / 医療システム |
Research Abstract |
前年度に開発した6項目合計14点からなる病院前スコアは、感度96.5%・特異度15.9%で入院加療必要性の有無が予測可能であった。病院前スコアの有用性をさらに詳細に検討するため、病院入院後転帰まで追跡することとした。大阪府岸和田市における2004年7月より2006年3月までの15歳以上の急病による全救急搬送患者9,160例のうち、病院前スコアに含まれる6項目すべてを記録されていた症例は8,330例であった。これらのうち、主要2病院に搬送された患者6,498例を対象に、入院後も含めた搬送後転帰(帰宅・入院後軽快退院・入院後転院・死亡)を調査した。その結果、入院後も含めた死亡者はスコア2以下にはなかった。また、死亡者の割合はスコア11以上で急激に上昇した。以上より入院後も含めた転帰を予想するのにもある程度は有用であると考えられた。具体的にはスコア2点以下はほぼ96.5%は入院を必要としない軽症患者であり、3.5%の入院患者にも死亡者はいないことから、病院前段階における重症度の指標となると考えられる。 しかしながら、現時点では救急隊員によるトリアージに対する社会的コンセンサスが未整備であること、さらにアンダートリアージが生じた際の貴任の所在がはっきりしないことなどから、搬送後転帰の予想にはある程度役立つものの、現段階では実際の病院前救急現場における病院前スコアの利用は困難であると考えられる。救急隊員がプレホスピタルトリアージを行う法的・社会的根拠が明らかになった際は、本研究で開発した病院前スコアが有用となる可能性がある。
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