2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸管疾患の血清脂質とアポ蛋白の代謝機序を解明するための質量分析法の開発
Project/Area Number |
18659159
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
日高 宏哉 信州大学, 医学部, 助教授 (10362138)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 努 信州大学, 医学部, 教授 (90020809)
太田 浩良 信州大学, 医学部, 教授 (50273107)
本田 孝行 信州大学, 医学部, 助教授 (80238815)
赤松 泰次 信州大学, 医学部附属病院, 助教授 (80212413)
|
Keywords | 脂質 / 蛋白 |
Research Abstract |
本年度は、1)血清リボ蛋白中脂質の脂肪酸組成の異なる脂質分子の分析、2)リン脂質分画濃度の定量、3)血清リポ蛋白中アポ蛋白の複合体およびアミノ酸の修飾について検討した。 1)血清リポ蛋白中の脂肪酸組成の異なる脂質分子の分析については、マトリック支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOF-MS)による質量分析法により、リン脂質、コレステロールエステル、トリグリセライドの構成脂肪酸組成の推定が短時間でできた。特に脂肪酸の異なるリン脂質の分子種は、MALDI-TOF-MSによりほぼ定量的(比率)に分析できた。リン脂質の分子種は、カイロミクロンレムナント、超低比重リボ蛋白、低比重リボ蛋白、高比重リボ蛋白で特徴的な分布を示した。 2)脂肪酸の異なるリン脂質の分子種の血中濃度を測定するために、96wellマイクロプレートおよび汎用生化学自動分析装置を用いた酵素法により、血清中の主要リン脂質であるホスファチチジルコリンとスフィンゴミエリンの特異的定最法を開発した。本法は、特異性、感度、精度に優れ、ヒト血清中リン脂質および細胞膜リン脂質濃度の定量ができるようになった。1)と2)より、ヒト血清中の脂質、特に主要リン脂質分画濃度および脂肪酸組成の違いによるリン脂質の分子種のモニタリング法を開発できた。 3)血清リポ蛋白と他の血漿蛋白の複合体形成をゲル濾過クロマトグラフィー、DEAクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、超遠心分離法にて分離精製し、この複合体をSDS-PAGE電気泳動法、等電点電気泳動法およびイムノブロッティング法により同定した。蛋白に結合したアミノ酸の分析は、蛍光物質のポストラベルHPLC法およびMALDI-TOF-MSにより分析ができた。また、アミノ酸修飾および非修飾蛋白の物理化学的性質を分析した。
|