2007 Fiscal Year Annual Research Report
ディーゼル排出微粒子中に存在する未知の親電子性物質の新規探索法の開発
Project/Area Number |
18659167
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
熊谷 嘉人 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00250100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 茂 福岡大学, 薬学部, 准教授 (80140755)
角 大悟 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30400683)
高野 裕久 独立行政法人国立環境研究所, その他, 健康系領域長 (60281698)
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Keywords | 大気汚染物質 / 新電子性物質 / 多環芳香族炭化水素キノン類 / 共有結合 |
Research Abstract |
大気中には多種多様なガス状物質および粒子状物質が含まれている。その中には、多環芳香族炭化水素キノン体のように、チオール基を介して生体高分子と共有結合し、その結果、生体の恒常性維持の破綻を引き起こすことが知られている。我々はこれまでに、数種類の多環芳香族炭化水素キノン体の存在を報告したが、それ以外のキノン体あるいは共有結合能を有する未知の親電子性物質が考えられた。そこで、グルタチオンアフィニティー樹脂を用いて検討した。ディーゼル排出微粒子のジクロロメタン抽出画分をメタノールに再溶解したサンプルを用いた。その結果、当該樹脂に結合する成分が含まれることが示唆された。一方、ディーゼル排出微粒子のヘキサン画分の殆どがメタノールへの溶解性は低かった。ディーゼル排出微粒子中親電子性物質とグルタチオンアフィニティー樹脂との結合は蒸留水等の洗浄では解離されないことから、強固な結合であることが示された。さらに、種々のプロテアーゼを用いて、親電子性物質+システインあるいは親電子性物質+システイン+グリシンの遊離を試みたが、それらに該当するピークは検討した高速液体クロマトグラム上では検出されなかった。このことは、ディーゼル排出微粒子中に含まれる親電子性物質の含有量の低さに関係することを示唆している。同様な実験を活性化チールグルタチオンアフィニティー樹脂との結合実験も行ったが、やはりディーゼル排出微粒子中親電子性物質の存在は指示された。 以上より、ディーゼル排出微粒子中には未知の親電子性物質が存在し、それらはチオール基を介して共有結合することが示された。
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