2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18659175
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
姫野 誠一郎 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (20181117)
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Keywords | 衛生 / 環境 / 糖尿病 / カドミウム / 腎障害 |
Research Abstract |
糖尿病に進展に及ばすCd曝露の影響を明らかにするため、5週齢から糖尿病症状を呈する糖尿病自然発症マウスであるAkitaマウスを用い、Cdを摂取させたときの影響を検討した。また、このマウスの野生型に相当するC57Bl/6マウスと結果を比較した。マウスの飼料にCdを0,10,25.50ppmのCdを添加し、16週間飼育し、採尿、採血、および各組織の摘出を行った。16週間のCd摂取では、まだCd単独曝露による腎障害は起きない時期である。また、Akitaマウスにおける糖尿病性腎症の発現は30週齢くらいから顕著になることが知られている。Cd曝露と糖尿病という二つの因子が重なったときに、腎障害がより顕著に起こるかどうかを種々の臨床生化学的指標を用いて検討した結果、特に、Cd曝露によって糖尿病症状が強くなったり、腎障害が顕著に現れることはなかった。しかし、その時期に遺伝子発現のレベルで何らかの変化が起きている可能性があるので、腎臓のRNAを抽出して、DNA microarrayを実施した。その結果、当然メタロチオネインの発現が顕著に上昇していたが、それ以外にglutathione S-transferase(GST)のいくつかのisozymeの発現が上昇していた。そこで、各GST isozymeのmRNAレベルを調べたところ、GST-alpha、GST-muの発現が顕著に上昇していた。また、GSTの基質となるglutathione膿度もCd濃度の上昇にともなって高くなっていた。このような変化は腎臓でのみ観察された。また、Akitaマウスでは、Cd曝露がない状態でも、GST-alphaの発現がやや上昇していた。これらの結果から、糖尿病そのもの、あるいはCdの曝露のいずれによっても、腎臓で腎障害が起こるより早い時期からGST-alphaの発現が上昇することが明らかになった。
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