2006 Fiscal Year Annual Research Report
基本和解合意に基づくタバコ業界文書の解析によるタバコ対策
Project/Area Number |
18659188
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
矢野 栄二 帝京大学, 医学部, 教授 (50114690)
|
Keywords | タバコ / 国際タバコ企業連合 / 中国 / 世界貿易機関(WTO) / タバコ規制枠組み条約 / 関税 / British American Tobacco (BAT) / Japan Tobacco (JT) |
Research Abstract |
タバコは日本人の健康障害要因の中でも最も影響が大きく、タバコ規制は今日の最大の公衆衛生的課題と考えられる。それにもかかわらずタバコが広く存在し続けている中、タバコに関しは、なぜタバコが社会に存在し続けているのかのメカニズムを明らかにする経済学・社会学的アプローチも含めた研究が今、最も必要である。この目的ですでに諸外国からは米国におけるタバコ訴訟の結果として公開されたタバコ会社の膨大な内部文書(合意文書)を分析し、タバコ会社がタバコの害を隠し、人々に喫煙を続けさせるさまざまな活動を明らかにした研究が次々と発表されている。 しかし、これまでわが国ではこの種の研究はほとんどない。また上の合意文書の対象企業の中にJTが入っていない。そこでまず、合意文書の分析を中心に研究協力者のいる中国・ロシア・タイにおいて、国際タバコ会社とJTが行っているタバコの販売維持、拡大のための方策の解明に着手した。 まず中国では、British American Tobacco社が2004年末の中国のWTO加盟による貿易自由化に際して強力なロビー活動を米国やEUで展開し、その結果中国のタバコに対する関税を引き下げさせるとと共に、膨大な中国の市場に食い込む契機を得ようとした経過が明らかになった。(Zhong and Yano. Tobacco Control 2007in press) またタイは他の東南アジア諸国へのタバコ供給源としての役割を持つ。一方国としてはタバコに対する規制がアジア諸国では比較的強く、タバコの広告も制限されているが、それに対し国際タバコ企業連合が販売ケースにおける広告、スポーツ協賛、密輸による普及など様々な活動を行っている現状を調査中である。 加えて合意文書に含まれないJTが、これらの国やインド、ロシアなどで急速に販売を拡張している状況について予備的な情報収集を行った。
|