2006 Fiscal Year Annual Research Report
加熱食品由来の化学反応中間体を用いた生体機能分子修飾:新規創薬法の開発
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18659200
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 客員助教授 (30284897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
安部 淳一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (80128404)
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Keywords | アスコパイロン-P / 1,5-AF / 1,5-AG / アポプトーシス / 抗炎症作用 / 細胞周期 |
Research Abstract |
今年度の研究を通して、我々の見出した新規機能性単糖1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AF)の誘導体アスコパイロン-P(APP)は、(1)血清、アルブミンなどの高分子蛋白あるいは、低分子アミノ酸、核酸などの存在下でインキュベートした場合、単純な水やリン酸バッファー等の水溶液にしたときに比べ、速やかに(数時間以内)消失していくことが明らかになった。特に、高濃度のAPPに対して、高濃度のアミノ酸(20種類のアミノ酸)、核酸など(dA、dT、dG、dC、A、T、G、Cの8種類+ATPなど)それぞれを混合して数時間インキュベートしたものをサンプルとしたHPLC解析(RI検出器を使用)において、化学反応の結果として生じたものと考えられるadductのピークの存在が確認された。また、培養細胞にAPPを直接添加・インキュベート後の細胞の変化について、高濃度のAPP(200μg/ml以上)は、細胞周期上でのS期停止(DNA合成の遅延)やアポプトーシス(細胞死)を誘導し、同時に、細胞内構造蛋白中のカルボキシメチルリジン化蛋白の量を増加させた(この際、培養液に添加したAPPは完全に消失していた。)。以上のことより、APPは、細胞構成物あるいは生理活性物質(蛋白・アミノ酸、核酸など)の分子修飾(カルボキシルメチル化などによるNH-グループの修飾)という過程を介して、薬理機能を発揮するものと考えられた。特に、APPによる細胞周期S期停止やアポプトーシスという現象については、APPと核酸との間に生じたadductによるものと考えられた。つまり、APPによる生体内生理活性物質の分子修飾による新たな新規活性物質の生成の可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)