2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスRNAのマイクロ断片化によるウイルス増殖制御法の開発
Project/Area Number |
18659203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80240703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤江 肇 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90332577)
四柳 宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30251234)
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Keywords | C型肝炎 / レプリコン / ウイルス増殖 / siRNA / プロテアーゼ |
Research Abstract |
我が国における重大な死因である肝細胞癌(以下、肝癌)の約80%がC型肝炎ウイルス(HCV)感染症に起因している。肝癌の基礎疾患である慢性C型肝炎の治療としては、リバビリン併用ペグインターフェロンが、C型慢性肝炎患者のおよそ60%に有効とされる。しかし、無効例の治療には有効な肝炎制御方法がなく、慢性肝炎から肝硬変・肝癌への進展を、なすすべなく見守っている状況である。インターフェロン治療無効例においては、血中からのHCV消失は速やかであるが、HCVの感染した肝細胞が排除されにくく、それが無効の原因であることが明らかにされている。したがって、少数残存したHCV感染肝細胞からHCVが効率よく排除されれば、慢性C型肝炎におけるIFN治療成績は飛躍的に向上することが期待される。最近、siRNAを用いたHCV増殖の制御法も検討されているが、分解されやすいRNAを生体内の肝臓に導入することとの難しさ、HCVゲノムの変異の速さのため、siRNAを用いたHCV増殖制御は困難に直面しているといえる。我々は、HCV感染肝細胞には、HCVゲノム複製中間体である二本鎖RNAとHCVのプロテアーゼが特異的に存在することを利用して、HCV二本鎖RNAをDicer酵素によってHCV感染肝細胞内でsiRNA化し、肝細胞に残存するHCVを排除する治療法の開発を目指して研究を行なっている。Dicer酵素の人体への悪影響を排除するために、Dicer酵素を低活性型で導入し、HCVのNS3プロテアーゼによってHCV感染肝細胞でDicer酵素が高度に活性化される系を開発するため、HIV protein transducing domain (ptd)配列の後にHCV NS3プロテアーゼ切断ペプチド-Dicer酵素をつなげた発現バキュロウイルスを作製し、発現タンパクptd-pep-Dicerを精製している。この精製タンパクをHuh-7細胞およびHCV NS3プロテアーゼ発現Huh-7細胞クローンに導入して、Dicer酵素の活性を、基質dsRNAを添加しsiRNAを測定することによって検討しているところである。
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Research Products
(7 results)