2006 Fiscal Year Annual Research Report
変性赤血球による非アルコール性脂肪性肝炎病態の修飾
Project/Area Number |
18659214
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
河田 則文 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30271191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 英樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 研究医 (20382070)
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Keywords | 脂肪肝 / 脂肪性肝炎 / 赤血球 / マクロファージ |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、アルコールを摂取しないにも関わらず大滴性の脂肪肝に加え、種々の程度の炎症細胞浸潤、肝細胞壊死と線維化を伴う進行性の疾患である。一部のNASH症例は肝硬変、肝癌に進展すると言われており、早急な病態の解明とそれに基づく治療法の確立が急務である。一方、近年メタボリックシンドロームという概念が注目されている。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積がきっかけとなり耐糖能異常、高脂血症、高血圧などが一個人に集積する状態であり、動脈硬化性疾患発症の背景として重要であると考えられている。NASHは、メタボリックシンドロームの肝臓での表現型と考えられているが、その関連性に関しては不明な点が多い。その原因の一つとして、これまで脂質の過食をもとに発生する適切なNASH動物モデルが存在しなかった点が挙げられる。申請者らは、ラビットを用いた新たなNASH動物モデルを作製した。本モデルでは長期間にわたり高脂肪食を与えることで脂肪性肝炎及び肝硬変が誘導され、新たなNASH動物モデルとして期待される。本動物モデルの肝組織の検討で、1)電子顕微鏡による肝臓の観察で、赤血球を捕食する食食細胞が多数みられ、2)鉄染色にて肝内に鉄陽性細胞が多数見られた。これらの結果は、脂肪性肝炎では肝macrophageでの赤血球処理機構がなんらかの原因で亢進した結果、赤血球のヘモグロビンに由来する鉄がmacrophage内で蓄積し、その結果鉄依存性の酸化ストレスが生じて肝炎を誘発することが想像される。NASHの病態に赤血球が関与するという仮説はこれまでに全くないことより本研究は極めて独創性が高く、NASH研究の新たな進歩に寄与する可能性がある。
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Research Products
(5 results)