2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内輸送障害是正に着目した難治性心疾患治療法の開発
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18659222
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551)
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Keywords | 不整脈 / チャネル変異 / 細胞内輸送障害 / サルコレンマ / Brugada症候群 / QT延長症候群 / カテコラミン誘発性心室頻拍 |
Research Abstract |
特発性不整脈や特発性心筋症などの原因不明の難治性心疾患の一部は遺伝子変異による機能性タンパクの細胞内輸送障害に起因するが、これらは遺伝子変異に起因するため現時点では根治療法がなく、また、有効な治療法、予防法も少ない。本研究の目的は、これらの難治性心疾患について、病因となる遺伝子変異と細胞内輸送障害に関わる分子間の機能連関異常を解明するとともに、その異常を是正するためのペプチドや低分子化合物のスクリーニングシステムを開発することにある。本年はカテコラミン誘導性心室頻拍、QT延長症候群、Brugada症候群などの不整脈患者集団についてチャネル遺伝子変異を検索し、多数の遺伝子変異を同定した。特記すべきことは、複合ヘテロ接合体のみが発症するKvLQT1チャネル変異2種を同定したことにある。うち1変異はKvLQT1チャネルのC端側に存在し、GFP融合タンパク系を用いた実験で細胞内輸送障害を来たすことが判明した。他方の変異が存在する領域は細胞内でのKvLQT1チャネルの会合に必要であると報告されているが、動物細胞2ハイブリッドを用いた実験系で、当該領域には会合活性がないことを明らかにした。さらに、これらの変異による細胞内輸送障害を改善するスクリーニングシステムを構成するために、変異KvLQT1チャネル分子にmyc-tagを付加したコンストラクトを作製している。一方、チャネル遺伝子には変異が見出されない「原因不明」のBrugada症候群および特発性心室細動症例について、新規サルコレンマタンパクの遺伝子変異を検索したところ、Brugada症候群の2例に健常者には存在しない変異を見出した。このタンパクの機能は現在まで不明であるが、これらの変異による機能変化を解析することで、新たな不整脈発症メカニズムが解明されると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Human cardiac ryanodine receptor mutations in ion channel disorders in Japan2007
Author(s)
Aizawa Y, Mitsuma W, Ikrar T, Komura S, Hanawa H, Miyajima S, Miyoshi F, Kobayashi Y, Chinushi M, Kimura A, Hiraoka M, Aizawa Y
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Journal Title
Int J Cardiol 116(2)
Pages: 263-265
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[Journal Article] Structural analysis of four and half LIM protein-2 in dilated cardiomyopathy2007
Author(s)
Arimura T, Hayashi T, Matsumoto Y, Shibata H, Hiroi S, Nakamura T, Inagaki N, Hinohara K, Takahashi M, Itoh-Satoh M, Bonne G, Schwartz K, Kimura A
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun (In press)