2006 Fiscal Year Annual Research Report
多発性嚢胞性肺疾患におけるBHD遺伝子解析 ー嚢胞形成の分子病因的検討ー
Project/Area Number |
18659242
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10226681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 裕三 順天堂大学, 医学部, 助手 (30384069)
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Keywords | 嚢胞性肺疾患 / Birt-Hogg-Dube症候群 / BHD遺伝子 / Folliculin / 自然気胸 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群は、1977年に初めて報告された常染色体優性遺伝性疾患であり、皮疹(fibrofolliculoma)、腎癌、肺嚢胞の3種類の病変を特徴とするが、、肺嚢胞や気胸などの肺症状のみのBHD症候群例が存在することが明らかになりつつある。本研究では、嚢胞形成の分子生物学的機序を明らかにする端緒となりうる可能性を考え、肺内に嚢胞を多数認める症例についてBHD遺伝子解析を行った。現在までに、胸部CTで肺嚢胞を認める20例(男6例、女14例)についてBHD遺伝子変異の有無を検討した。末梢血白血球からゲノムDNAを抽出し、DHPLC法でBHD遺伝子の14個のexonを個別にスクリーニングし、変異の疑われるexonのみ遺伝子解析を行い変異を確定した。その結果、9例でBHD遺伝子の胚細胞変異を認めた。deletion/insertion 6例(exon6で1例、exon7で1例、exon11で1例、exon12で2例、exon13で2例)、nonsense変異1例(exon13)、splicing変異1例(exon6)であった。胚細胞遺伝子変異を認めた症例の臨床的特徴は、1例で顔面にfibrofoUiculoma様の皮疹があり、気胸の反復9例、腎癌O例、肺癌1例を認めた。肺尖に嚢胞を認め事が一般的である特発性自然気胸や肺嚢胞の症例、肺末梢にのみ嚢胞の存在する傍隔壁性嚢胞の症例、ではBHD遺伝子異常波認めなかった。BHD症候群と診断された症例では、嚢胞は少なく、肺底部。縦隔側に多く認められた。肺に多発性嚢胞を有し気胸を反復する症例では、詳細な家族歴の聴取とBHD遺伝子解析が必要である。
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