2006 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポイエチン産生機構の尿中酸素濃度感受性仮説の検証
Project/Area Number |
18659245
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義明 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00221250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大浦 敏博 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10176828)
藤原 幾磨 東北大学, 病院・講師 (10271909)
宗形 光敏 東北大学, 病院・非常勤講師 (30312573)
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Keywords | 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 生理学 / タンパク質 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本年度の研究では、(1)マウス尿細管微小単離灌流実験系および(2)ヒト尿中落下細胞培養系を用いて、エリスロポイエチン産生の検証を行い、本格的に尿中酸素濃度とエリスロポイエチン産生との関連を検討するための実験条件基盤が構築可能であるかどうかを検証した。 まず、(1)の実験系では、マウス腎より近位尿細管・ヘンレの太い上行脚および皮質部集合管を極力無菌的に微小単離し、そのフラグメントを倒立顕微鏡IX-70のステージ上に設置した準無菌灌流槽に移し、ナリシゲ製マイクロマニピュレータを使用して尿細管内外を分離灌流した。経上皮電位をWPI社製Duo-773エレクトロメーターにて測定し、タイムラプスビデオによって長時間低速での形態のビデオ撮影を行った。いずれの尿細管についても、エリスロポイエチン産生能の酸素感受性を確認するのに最低必要と考えられる24時間以上の単離灌流に成功し、特に太いヘンレの上行脚および皮質部集合管では、生理的に出現する経上皮電位が実験開始後72時間以上にわたって持続することが示され、尿細管機能形質が、生体よりの尿細管単離後も維持されるという重大な事実が明らかとなった。来年度は、この系によるエリスロポイエチン産生能の酸素条件変化による増減の有無を、より詳細に検討する。 一方、(2)の実験系については、腎炎を中心とする腎疾患患者より、倫理委員会承認および研究同意を受けた患者尿検体より尿中落下細胞の培養系を用いて、エリスロポイエチンの免疫蛍光染色、HIF-1およびHIF-2の発現を詳細に検討した。この結果、エリスロポイエチン産生細胞として、エリスロポイエチンが染色される特異的な細胞が、大変少ないながら明確に観察されることを明らかにした。これらの細胞は、周囲の尿細管その他の細胞に囲まれながら増殖したが、培養液中の酸素濃度の強い低下(酸素濃度5%程度)に対しては、明確なエリスロポイエチンの産生増強が認められなかった。
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