2006 Fiscal Year Annual Research Report
スギヒラタケ関連脳症における3ニトロプロピオン酸の検討
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18659255
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
和田 千鶴 秋田大学, 医学部, 医員 (40256590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 至 秋田大学, 医学部, 教授 (80108951)
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Keywords | スギヒラタケ / 急性脳症 / 中毒 / 3-NPA / 真菌 |
Research Abstract |
スギヒラタケ関連脳症は、スギヒラタケ摂食後意識障害、痙攣をきたし、脳画像所見で両側基底核病変を認める致死的疾患である。最終摂食から発症までの潜伏期が日単位と長く、不定である。摂食量と重症度が相関しないなど、従来のキノコ中毒では説明困難な事項が多く、いまだ原因は不明である。一方、サトウキビカビ脳症は1970〜80年代に中国北部に発生した中毒性神経疾患である。サトウキビカビ脳症は、サトウキビ摂食後意識障害、痙攣をきたし、脳画像所見上量側対称性の被殻・淡蒼球病変を認め、スギヒラタケ関連脳症に酷似している。サトウキビカビ脳症では摂食サトウキビから毒性物質3ニトロプロピオン酸(以下3-NPA)が検出され、サトウキビに生じたカビ(多くはArthrinium属)が3-NPAを産生し、サトウキビ中に3-NPAが蓄積し、これを摂取したことで中毒がおこったことがわかっている。3-NPAはミトコンドリア毒素で細胞内エネルギー代謝を傷害する。本研究はスギヒラタケ関連脳症と3-NPAの関連を検討した。 患者・対照検体(血清・髄液)、症例と対照スギヒラタケ抽出物において、ジアゾカップリング反応、薄層クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーを用いて、3-NPAの検出を試みたが、各検体において3-NPAの有意な上昇を認めなかった。 スギヒラタケに付着した真菌を検討するために、単離培養し、核酸抽出した真菌の遺伝子と既存の真菌、18sリボゾームRNA遺伝子との相同性を調べたが、3-NPAを産生しうるArthrinium属,Penicillium atrovenetum, Aspergillus flavusの塩基配列と一致しなかった。 本研究ではスギヒラタケ関連脳症と3-NPAとの関連を示すことはできなかった。しかし、画面上、3-NPA関与の可能性は高く、患者検体では発症時既に3-NPAが低値であった可能性があり否定はできない。今後も3-NPAの検討が必要である。両側基底核病変を起こす可能性のある毒素は3-NPAの他にも数多く存在し、いずれもミトコンドリア毒素であり、基底核の酸化ストレス脆弱性に関連すると考えられている。ヒトの中毒例がない物質でも、実験動物で両側基底核病変が証明されており、今後、原因物質として検討に値する。
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Research Products
(1 results)