2006 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺ホルモンによって造血幹細胞移植の効率化をめざす研究
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18659284
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
花園 豊 自治医科大学, 医学部, 教授 (70251246)
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Keywords | サル / 造血幹細胞移植 / 骨芽細胞 / 間葉系幹細胞 / ニッチ / 副甲状腺ホルモン / レトロウイルスベクター / 遺伝子標識 |
Research Abstract |
目的:サルの系において,造血幹細胞移植前後で副甲状腺ホルモン(PTH)を投与し骨芽細胞を刺激することによって,移植後の造血幹細胞の生着促進効果を明らかにする。そのために平成18年度は,サルの移植実験系を構築し,実際にポジティブ・コントロール実験を1頭実施した。すなわち,骨芽細胞への分化能をもつ間葉系幹細胞(MSC)を共移植することによって造血幹細胞の生着促進効果を検討した。 方法:骨髄破壊的前処置としてサルに放射線を照射した。移植は自家移植の系で,個体差の影響を排除するため同一個体の左右各々にヘミ移植を行った。すなわち,右側には造血幹細胞(CD34^+細胞,レトロウイルスベクターG1Naで標識)とMSC(骨髄間質細胞,レトロウイルスベクターPLIIで標識)を骨髄内に共移植した。左側にはコントロールとして造血幹細胞(レトロウイルスベクターLNL6で標識)のみを骨髄内に移植した。移植後の造血が,共移植群(G1Na標識)または単独移植群(LNL6標識)のどちらに由来するかを判定した。具体的には,腸骨(左右から中立)から採取した骨髄細胞のコロニーアッセイを行い,各コロユーに対してG1NaとLNL6を判別するPCRを行った。 結果・考察:造血幹細胞をMSCと共移植した場合,造血幹細胞の生着がよりよい傾向が観察された(約5倍).MSCを共移植すれば,骨髄内でMSCから骨芽細胞が分化し,造血幹細胞のユッチが創出され,造血幹細胞の生着が促進されたのではないかと考えられる。もしそうだとすれば,PTHでも同様な生着促進効果がみられることが期待できる。平成19年度は,いよいよPTHを投与して,本年度のポジティブ・コントロール実験結果に匹敵する生着促進効果が見られるかどうか検討したい。
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