2006 Fiscal Year Annual Research Report
染色体構築と分離に異常を示す先天性疾患の症例収集と早期診断法の確立
Project/Area Number |
18659310
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
木村 礼子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 研究助手 (70393147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 教夫 独立行政法人理化学研究所, 平野染色体ダイナミクス研究室, 先任研究員 (20291172)
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Keywords | 染色体異常 / 染色体構築 / 染色体分配 / 単極性染色体整列 / モナストロール / コルネリアデランゲ症候群 |
Research Abstract |
今年度は患者およびその家族から16例、対照群の健常者12例のリンパ芽球細胞株を樹立した。疾患群にはチャージ症候群、コルネリアデランゲ症候群、リソソーム病、脳障害を伴った染色体2番逆位、Mowot-Wilson症候群、原因不明の小頭症や低身長を示す発達障害などが含まれる。 これらのなかで、染色体の構築や分配機構に関する遺伝子に異常が起こっている場合は、形態的な染色体異常は認められない症例であっても、染色体の中期赤道面への整列に異常を示す可能性がある。しかし、通常の細胞分裂における中期染色体の整列は10分程度と短いため、臨床的な検索は困難であった。そこで、我々はモナストロールを用いて、単極性に染色体を中期赤道面へ整列させた状態で分裂を停止させ(単極性染色体整列)、染色体の機能的異常を整列状態の異常として捉える検索法を考案した。この方法で、健常者由来のリンパ芽球では80%以上の細胞で完全な整列が観察されるが、コルネリアデランゲ症候群由来の細胞では完全な整列は55-65%に低下し、不完全な整列を示す細胞は正常群の約2倍の頻度となった。この不完全な整列は株化リンパ球だけでなく、通常の染色体検査を行うために培養された細胞においても同様の頻度で観察された。加えて、今回調べた患者の細胞では、染色体の形態的な異常は見られなかった。これらの結果は、コルネリアデランゲ症候群では、中期における染色体整列の失敗もしくは遅延が起こっていることが強く示唆されるが、通常の染色体検査では検出できないことを示している。 今回の研究によって、典型的な染色体異常が見られない症候群のなかに、染色体分配システムの異常を原因とする疾患が存在する可能性が示めされた。さらに、これらの疾患の臨床的な検出方法として、単極性染色体整列による検索が有効であると考えられたので、今回収集した症例での整列検索を順次行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)