2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体構築と分離に異常を示す先天性疾患の症例収集と早期診断法の確立
Project/Area Number |
18659310
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
木村 礼子 Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 遺伝学部, 研究助手 (70393147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福士 大輔 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 研究員 (90397159)
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Keywords | 染色体サイクル / 染色体異常 / 染色体分配 / 染色体構築 / 単極性染色体整列 / モナストロール / 先天性疾患 |
Research Abstract |
今年度は新たに患者およびその家族17例と健常者3例からBリンパ芽球細胞株を樹立し、18年度からの合計は75株となった。そのうち48例の原因不明の発達障害児およびその家族と、13例の健常者のリンパ芽球について、モナストロール処理による単極性染色体整列異常の解析をDAPI染色法により行った。また、整列異常の検出感度を向上させるため、alpha-tubulin抗体を用いた免疫染色法を併用した。各検体について200細胞以上解析した結果、健常者の染色体整列異常頻度は約11%であった。一方、症例のうち整列異常が20%以上認められた検体に関しては、複数回分析を行った。その結果、2番染色体部分欠損や、9番染色体長腕末端の重複(〜10Mb)を伴う精神遅滞では、患児の整列異常は健常者の約2-4倍で、その家族はいずれも正常値を示した。他の症例では、保因者にも整列異常が20%以上と高い場合があり、凍結保存や培養の状態が影響する可能性が示唆された。これに関しては別ロットの細胞株の使用や、陽性の基準を30%以上と厳しくすることが必要と示された。 本研究の解析により、モナストロールを用いた染色体整列異常検索法は、未知の発達障害の診断法として有用性が高いことが判明した。また、免疫染色法を併用することで、整列異常と紡錘糸の配列の乱れが強く関連していることが明らかになった。染色体サイクル、特に分裂中期の姉妹染色分体の整列と分配について、近年多くのタンパク質が関与していることが明らかになっており、知的障害を伴う未知の発達障害で、これらのタンパク質の異常が報告されている。今後も症例数を増やし、臨床症状と整列異常の関連を解析すること、姉妹染色分体の構築と分配に関わるタンパク質の異常の有無を調べることにより本方法の早期診断法としての有用性をさらに高めることができると考えられる。
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