2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的薬と放射線の併用効果と副作用:マウス肺癌モデルを用いたメカニズムの解明
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18659347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澁谷 景子 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (50335262)
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Keywords | 肺癌 / 放射線治療 / 分子標的治療 / 同所性移植モデル / イメージング |
Research Abstract |
我々は、ルシフェラーゼ遺伝子を発現するベクターを導入したヒト肺癌細胞(Red-H441/5HRE-Luc cell)の移植マウスモデル、およびIVIS Imaging Systemを活用したモニタリングシステムを確立し、薬剤や放射線による腫瘍の発育抑制効果や低酸素誘導因子HIF-1(hypoxia-inducible factor-1)活性の変動をリアルタイムに観察することに成功した。さらに、HIF-1依存的にルシフェラーゼを発現する5HREp-lucレポーター遺伝子に改良を加えたことで低酸素応答性を約47000倍にまで高め、よりリアルタイムに感知可能なレポーター遺伝子5HREp-ODD-lucを構築した。このシステムを用いて、血管新生阻害作用をもつ分子標的薬ベバシツマブ(Avastin)投与後の腫瘍内低酸素の変動を観察したところ、投与2日後よりHIF-1活性が上昇し始め、3日目でピークに達することが確認された。この現象は血管新生の抑制とともに免疫組織染色にても確認された。そこで放射線との最適な併用タイミングを予測するため、HIF-1活性の上昇前とピークに達した時点で照射を行ったところ、前者で有意に増殖が抑制され、免疫組織学的解析にても同様の結果が確認された。ベバシツマブは大腸癌や肺癌で臨床応用が開始されており、放射線との併用効果については高い関心がもたれている。HIF-1活性をモニタリングすることで最適な併用タイミングを予測できることが示された。先に、当研究のなかで、新規抗癌剤であるS-1や従来より肺癌への有効性が認められているパクリタキセルにおいても、その感受性がHIF-1活性と深く関わっていることが示され、今後の肺癌の治療における放射線と分子標的治療薬や抗癌剤の組み合わせ、併用スケジュールを考える指標として有用な成果が得られた。
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Research Products
(6 results)