2006 Fiscal Year Annual Research Report
異常型プリオン蛋白質結合性化合物の探索とその分子イメージングへの応用
Project/Area Number |
18659353
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 守雄 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (60164373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原武 衛 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (40325668)
小野 正博 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (80336180)
片峰 茂 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (40161062)
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Keywords | プリオン病 / アルツハィマー病 / アミロイド / ベンゾフラン / イメージング |
Research Abstract |
プリオン病もアルツハイマー病もそれぞれ、アミロイドに分類される異常型プリオン蛋白質(PrP^<sc>)およびアミロイドβ蛋白質(Aβ)が関与すると考えられている神経変性疾患である。現在、これらの疾患に対する早期診断法は確立されていない。そこで我々は、双方のアミロイドに対して高い結合性を示すthioflavin Tと同等の基本骨格を有するペンゾフラン(BF)化合物に着目し、今回特にBSEプリオン感染モデルマウスを作製し、そのアミロイドイメージングプローブとしての有用性について検討を行った。 トリフェニルホスホニウム塩とニトロ塩化ベンゾイルを出発原料とする分子内Wittig反応により、種々の置換基を導入したBF誘尊体の合成を行った。BSEプリオン感染モデルマウスは、マウス馴化BSE株(BSE-UK)感染発症脳の1%脳乳剤を4週齢の雄性ddYマウスの右側頭部に20μL脳内接種し、発症まで約20週間飼育観察した。また脳内接種後継時的(4週ごと)に脳(n=3)を採取した。ホルマリン固定後バラフィン切片(3um)を作製し、免疫染色法を用いてPrP^<Sc>蓄積を確認した。BF誘導体(100μM)を脳切片に添加し、洗浄後に蛍光顕微鏡で観察した。 蛍光顕微鏡による観察の結果、BSEプリオン非感染マウス脳切片上には、何ら蛍光は認められなかったが、BSEプリオン感染モデルマウス脳切片上ではBF誘導体の集積に基づく蛍光が観察された。このことは飼育期間の長いモデルマウスにおいては特に顕著であった。なお、BSEプリオン感染モデルマウス脳切片の免疫染色を行ったところ、PrP^<Sc>の沈着が認められ、BSEの感染を確認した。これらの結果から、BF誘導体がPrP^<Sc>に結合し、PrP^<Sc>分子イメージングのためのプローブとなりうることが示唆された。
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