2007 Fiscal Year Annual Research Report
鉄分子によるPET/MRI遺伝子発現イメージング法の開発
Project/Area Number |
18659357
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 純崇 National Institute of Radiological Sciences, 分子イメージング研究センター, 研究員 (60415437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池平 博夫 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング研究センター, サブグループリーダー (50150313)
小畠 隆行 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (00285107)
山谷 泰賀 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (40392245)
菊池 達矢 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (90392224)
吉川 京燦 独立行政法人理化学研究所, 重粒子医科学センター, 室長 (00204793)
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Keywords | 分子イメージング / がん遺伝子治療 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本課題は細胞内鉄貯蔵タンパク質であるフェリチン重鎖(FHC)遺伝子をレポーター遺伝子として用いその遺伝子発現を生体内で可視化することを目的とする。FHCレポーター遺伝子の発現により細胞内への鉄取り込みが充進することを利用しその生化学的反応をMRIとPETで可視化する試みである。まず、細胞モデルとして、FHC安定発現ヒト肺がん細胞株を樹立しMRIで解析したところ、コントロール細胞と比べてT2が延長した。同様の結果はヌードマウスの移植皮下腫瘍でも認められた。この結果は、鉄取り込み促進によりT2短縮が引き起こされるという以前の研究報告と相反しており、FHCの恒常的安定発現と一過性発現が引き起こす細胞内鉄代謝の差異によるものと考えられた。次に、FHCレポーターの細胞内一過性発現を行った。この目的のため、哺乳類細胞で強力に遺伝子発現を誘導するCAGプロモーターの下流にFHC遺伝子とその発現を光イメージングでモニター出来るよう蛍光DsRed遺伝子を組み込んだ発現ベクターを作製した。ヒト293T細胞に遺伝子導入しFHCの一過性発現とそれに伴う赤色蛍光を確認した。この細胞においては、FHCの発現によりトランスフェリン受容体の誘導とそれに伴う鉄の取り込みが増加することを認めた。しかし、この取り込みはPETイメージングでは十分でないことが示唆された。FHC一過性発現ヒト細胞をMRIで解析したところ、予想通りコントロール細胞と比較しT2強調画像での低信号とT2短縮が認められた。次にマウス移植皮下腫瘍にがん遺伝子治療での臨床応用が期待されているエレクトロポレーション法で遺伝子を導入しMRIを施行したところ、腫瘍内にT2低信号領域が認められ、腫瘍内でのレポーター遺伝子発現を可視化することに成功した。この方法によりがん遺伝子治療の効果をイメージングすることが出来、将来的な臨床応用が期待される。
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