2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳腺腫瘍における定量的FISH法によるテロメア長の測定と良悪性鑑別への臨床応用
Project/Area Number |
18659364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 英一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40334403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 利久 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80224111)
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Keywords | テロメア / 乳腺 / 癌 / 外科 / 細胞・組織 / Q-FISH法 |
Research Abstract |
研究実施計画に従い組織の採取・保存を行い、Q-FISH(quantitative fluorescence in situ hybridization) in Tissue section法を施行した。 われわれは本邦で初めて、Q-FISH in Tissue section法を用いて、乳腺組織におけるテロメア長解析に成功した。蛍光標識したテロメア塩基配列特異的PNAプローブを用いて、テロメア長を蛍光光度(光量)として得た。従来のテロメア長測定法であるサザンブロット法と異なり、組織切片上で組織構築を保ったまま解析可能であり、細胞種類ごとの計測が可能となった。 われわれはセントロメアプローブの光度を内因性コントロールとし、定量化した。セントロメアの光度は、細胞ごとに一定である。そしてテロメア長をテロメア/セントロメア蛍光光度比TCR(Telomere-Centromere Ratio)として表した。 多くの乳癌細胞においてテロメア短縮を認め、乳腺組織構成細胞ごとのテロメア長の違いを発見した。テロメア長は、線維芽細胞>乳癌細胞であり、非癌部乳管上皮では、筋上皮細胞>腺上皮細胞であった。 以上の結果より、多くの浸潤性乳管癌症例で組織Q-FISH法を用い、テロメア短縮を証明した。非癌部腺上皮細胞のテロメア短縮から組織学的に正常な部分に、染色体不安定性をもった細胞の存在が示唆された。 この結果を、平成18年7月、第14回日本乳癌学会総会にて「組織Q-FISH法による乳癌組織におけるテロメア長測定」として、および平成18年9月、第65回日本癌学会総会にて「組織Q-FISH法による乳癌組織各細胞のテロメア長解析」として学会発表を行った。さらに現在、英文論文を投稿中である。
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