2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18659365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川口 義弥 京都大学, 医学研究科, 助手 (60359792)
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Keywords | IPMN / 膵管内乳頭腫瘍 / pdx1 / 転写因子 / 分化 / 膵癌 |
Research Abstract |
膵がんの初期病変のこれまでの研究では細胞の形態学的変化を伴う細胞増殖能の異常に主眼をおかれ、Krasなどの遺伝子異常の蓄積としてPanINからの癌化が論じられてきた。一方、膵管内乳頭腫瘍(IPMN)は臨床的には主膵管型、分岐膵管型に分けられ、共に膵管上皮細胞の異型として発生する。いわゆるPanINとは異なり、本来なら粘液産生能を持たない膵管細胞が粘液を産生する様に変化する事が特徴で、粘液産生能そのものに注目した遺伝子異常の解析が行われてきた。IPMNも進行して基底膜を超えて浸潤すると通常型膵管癌と同じくリンパ節転移を生じて予後は不良であることから、IPMNは粘液産生能の獲得という分化の異常を伴った腫瘍化とととらえる事ができる。 膵の発生はマウスでは胎生9.5日に転写因子pdx1陽性原始腸管内胚葉上皮が発芽し、膵原基を形成する事に始まる。Pdx1は膵発生に必須だが、正常の発生では、分化が進むと共にpdx1の発現パターンも変化し、最終的にはinsulin産生細胞で強く、aciner細胞で弱く発現するが、膵管細胞ではほぼ発現が消失する。ところが、これまでの解析から非IPMN由来浸潤型膵管癌でpdx1の発現亢進が認められたこと、膵再生仮定における膵管でのpdx1再発現も明らかとなり、癌化や再生といった病的状況において、この膵形成に重要な転写因子の発現の意義、特にその細胞増殖能と分化誘導能が重要であると考えられるようになった。 我々はこれまでに、pdxの膵外における機能として、十二指腸、胆管での粘液産生細胞の分化に極めて重要な役割を担うという事を示した。本研究では、ヒトIPMN症例におけるpdx1の免疫染色による発現検討に加え、ptfla promoter下pdx1強制発現マウスを用いて解析を行っている。
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