2007 Fiscal Year Annual Research Report
高い有効性を誘導するための新たなる癌ペプチドワクチン療法適応決定因子の確立
Project/Area Number |
18659374
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平田 公一 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (50136959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30347174)
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (20301400)
古畑 智久 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80359992)
山口 浩司 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60315512)
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Keywords | 癌 / ペプチドワクチン / 適応 / サバイビン |
Research Abstract |
サバイビン2Bペプチドワクチン投与により、ペプチド特異的tetramer陽性CTLの発現頻度上昇およびELISPOT assayでのスポット数増加などのペプチド特異的免疫学的反応を誘導しても、必ずしもすべての症例に臨床学的抗腫瘍反応を認めない場合があることを明らかにした。また、そのような免疫学的反応と臨床学的反応の相違を生じる症例の多くに、癌原発巣におけるMHCクラスI発現の低下を認めたことより、MHCクラスI発現の低下がペプチドワクチンによる臨床学的効果非誘導の一因子となりうるのではないかと考えられた。また、癌原発巣におけるMHCクラスI発現の程度が、癌そのものの悪性度にも深く関与しているのではないかと考え、当院での大腸癌および膵臓癌における手術症例でのMHCクラスI発現の程度と予後および病理学的因子との相関についても検討した。すると、MHCクラスI発現低下群では、非低下群に比較し有意に生存率低下を認めた。また、大腸癌においては脈管侵襲因子とともに、膵臓癌においてはN因子とともにMHCクラスI発現の程度が予後因子であることが判明した。以上より、MHCクラスI発現の程度は重要な悪性度を示す指標と考えられ、かつ、MHCクラスI発現低下症例ではペプチドワクチン療法により抗腫瘍臨床学的効果を得難いことが明らかとなった。このような結果より、今後は、より高い抗腫瘍臨床効果を高率に得るためには、MHCクラスI発現が低下していない低悪性度症例をペプチドワクチン療法の最適な治療適応とすべきと考えられた。 また、本年度は、進行・再発乳癌におけるサバイビン2Bペプチドの免疫学的および臨床学的評価についての研究結果を論文化し、Journal of Translational Medicineにaccept(in press)された。
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