2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素の動きを制御することにより阻血再潅流障害のシグナルを制御する試み
Project/Area Number |
18659376
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深井 原 北海道大学, 大学病院, 医員 (60374344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院医学研究科, 特任助教授 (80256510)
古川 博之 北海道大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (70292026)
山下 健一郎 北海道大学, 大学病院, 医員 (00399940)
熊谷 純 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20303662)
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Keywords | 重水 / 臓器保存 / 冷保存 / 冷保存再灌流 / 嫌気代謝 / 細胞骨格 / 肝 |
Research Abstract |
1)肝細胞株AML12の低温(4℃)曝露による傷害 72時間まで低酸素時間依存的に細胞が傷害されることが上清LDHの上昇、細胞のMTT assayの低下により示された。アポトーシスも時間依存的に進行したが、傷害は10%-50%の重水含有液によって著明に軽減された. 2)肝細胞株AML12の低温・低酸素/復温・再酸素化よる傷害 低温・低酸素/復温・再酸素化により細胞が傷害されることが、上清LDHの上昇、細胞のMTT assayの低下により示された。アポトーシスも進行したが、傷害は10%-50%の重水含有液によって著明に軽減された. 3)肝細胞株AML12の低温・低酸素による傷害 低酸素72時間では殆ど全ての細胞が浮遊しており、低温・低酸素の限界時間は72時間未満と考えられた。アポトーシスも進行したが、傷害は10%-50%の重水含有液によって著明に軽減された。 4)同様の著明な細胞保護効果が小腸上皮細胞、気管上皮細胞で認められ、膵頭細胞での効果は他の細胞と比較するとやや低かったが、細胞保護効果は有意であった。 5)重水の効果と成果に関する考察 重水は、細胞種によらず、一定の濃度域で低温、低酸素細胞を保護する可能性が示唆された。今回の実験で、至適濃度、適応疾患(細胞、組織、臓器)を評価するための、細胞から臓器レベルのモデルが完成した。奏効メカニズム(細胞骨格、嫌気代謝、イオンおよび水の移動、トンネル反応制御など)について、詳細に評価するための基礎検討も進行している。"用途の明確化と進歩性の提示"を行い、特許出願に向けてさらに詳細な解析のための準備が整ったことが、本研究の最大の成果と考えられる。 心、肺、小腸、腎、肝の一括摘出、冷保存し、冷保存中の傷害を評価するモデルおよびそれらの臓器を酸素化したバッファーで定圧あるいは定量の体外灌流を行い、再灌流傷害を評価するモデルを現在、作成中である。最終的には予算が許せば、大動物の肝、腎、小腸移植モデルで臨床応用の可能性を評価したい。
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