2007 Fiscal Year Annual Research Report
Proteomicsによる胆道・膵癌新規抗癌剤耐性因子の解明と臨床応用の可能性
Project/Area Number |
18659379
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮崎 勝 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 秀幸 千葉大学, 医学部付属病院, 助教 (60375631)
竹内 男 千葉大学, 医学部付属病院, 助教 (20400822)
高野 重紹 千葉大学, 医学部付属病院, 助教 (20436380)
岡村 大樹 千葉大学, 医学部付属病院, 医員 (50375698)
三浦 世樹 千葉大学, 医学部付属病院, 医員 (40456025)
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Keywords | 胆道外科学 |
Research Abstract |
膵癌は予後不良の癌だが近年Gemcitabine(GEM)の有効性が報告されてきたが,どの症例に対し有効か否かは不明である。そこで我々はプロテオミクスの手法を用い膵癌のGEM耐性因子の同定とその臨床的関連を解明し,さらにその分子標的とした治療応用への可能性を追求することを目的とした。【方法、成績】アガロース2次元電気泳動法を用いGEM耐性膵癌細胞株と野生株の間での蛋白発現の差異を同定しAnnexinIIであることを見出した。さらに根治手術施行され術後GEMによる補助化学療法が行われた浸潤性膵管癌切除標本62例の免疫染色を行いAnnexinIIの強発現群は弱発現群に比べ,有意に無再発生存期間が短く多変量解析で強発現群は独立した再発予後因子であった。さらに特異的抗体を用いた検討にてGEM耐性株でGEM投与による殺細胞効果の有意な増強が認められた。SELDI-TOF-MS,ProteinChip Systemを用い,膵癌患者術前術後の血清中蛋白で予後マーカーと成り得る蛋白を同定し,その蛋白の癌細胞での機能解析を行った所,治癒切除された膵癌20例の術前術後血清で術後有意に低下した蛋白を精製同定したApolipoproteinC-1(ApoC-1)。膵癌術前血清中ApoC1の高値群では無再発および生存期間において有意に短く多変量解析でも有意な予後因子であった。また膵癌組織のApoC-1蛋白発現をWesternblot及び免疫染色にて検討,癌部,非癌部のApoC-1mRNA量を定量化PCRで比較すると,癌部で極めて強発現を認めた。さらにsiRNAを用い膵癌細胞株でApoC-1発現を抑制し細胞増殖への影響を検討したところ,有意に増殖能の低下を認め,さらにApoC-1発現を抑制する事で著明なapoptosisを認めた。【結論】Annexin IIが"tailor-made therapy"として重要な標的分子になる可能性が示され,また膵癌の血清予後マーカーとしてApoC-1を同定,膵癌組織由来の蛋白であることを確認した。細胞増殖および抗アポトーシス効果との密接な関係から,ApoC-1も膵癌の新しい分子標的治療のターゲットとして重要であることが示唆された。
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Research Products
(9 results)