2007 Fiscal Year Annual Research Report
進行膵癌に対する術前抗癌剤粒子線併用療法の確立に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
18659383
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒田 嘉和 Kobe University, 医学系研究科, 教授 (70178143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神垣 隆 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20372641)
菱川 良夫 神戸大学, 医学系研究科, 客員教授 (20122335)
村上 昌雄 神戸大学, 医学系研究科, 客員准教授 (50210018)
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Keywords | 膵癌 / 粒子線療法 / 化学療法 / 集学的治療 |
Research Abstract |
平成19年度は「局所進行膵癌に対する術前粒子線療法併用外科的切除の第I/II相臨床試験」を中心にその有効性、有害事象等について検討をおこない、さらなる症例集積を行いながら、局所進行膵癌における粒子線療法の耐容性と至適照射量を決定するための検討を行った。さらに、本年度は併用薬剤として5-fluorouracil(5FU)とgemcitabine(GEM)のヒト膵癌細胞株での増殖抑制効果について基礎検討を行なった。 局所進行膵癌に対する粒子線療法についての試験開始後、最終的に局所進行膵癌18例が登録されレベル1(40Gy)6例施行後、レベル2(50Gy)に12例が登録された。年齢中央値は64歳(42〜73)、男女比12:6、局在としては膵頭部13例、膵体尾部5例であった。UICC分類では、5例がT3、13例がT4であり、NOは11例、N1が7例であった。最終的に4例が手術治療を受けたが、2例は単開腹に終わり、他の2例に膵頭十二指腸切除が行なわれた(1例は病理学的に胆管癌と診断されている)。有害事象としてグレード1および2とも胃十二指腸炎と皮膚障害が大多数の症例で認められ、昨年とほぼ同じ傾向であり、本年度までの観察において1例にグレード3の十二指腸炎を認めたが、概ね耐容可能であった。このことから照射線量として50Gyまでの照射は可能と考えられ、今後の化学療法併用との際の基準となると考えられた。 一方、5FUとGEMの増殖抑制効果の検討では、4種のヒト膵癌細胞株Panc-1、AsPC1、MIA-PaCa2、BxPC-3を用いて検討したところ、IC50においては5FUの場合には4細胞間に大きな差がなく、粒子線との併用を行なう場合でも、条件を調整する必要性が無いと考えられた。一方、GEMでは、IC50において最大10倍以上の濃度差を認め、基礎検討のみならず臨床応用の際にも、細胞あるいは個体差を考慮した治療戦略が必要と考えられた。
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