2008 Fiscal Year Annual Research Report
進行膵癌に対する術前抗癌剤粒子線併用療法の確立に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
18659383
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒田 嘉和 Kobe University, 大学院・医学研究科, 教授 (70178143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神垣 隆 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20372641)
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Keywords | 膵癌 / 粒子線療法 / 化学療法 / 集学的治療 |
Research Abstract |
平成20年度は「局所進行膵癌に対する術前粒子線療法併用外科的切除の第I/II相臨床試験」での予後追跡とアウトカム調査をおこなった。その結果、陽子線照射後、膵頭十二指腸切除を施行した1例に生存例が認められ、今後長期生存例となる可能性が示唆された。さらに、新たな臨床研究として、局所進行膵癌に対して、スペーサーを留置した後、陽子線照射量を70〜75Gyに増強した治療戦略を進行させており、現在症例の集積中である。 一方、化学療法では進行膵癌の姑息的切除を行ったうえでgemci tablne(GEM)を用いる集学的治療の検討を行ない、GEM脳単独群の生存期間の中央値8ヶ月にくらべ姑息的でも膵切除を行い、術後GEMを施行したほうが中央値15ヶ月と生存期間の延長が認められた。これらの結果より、粒子線治療を行う際には、化学療法のみならず、手術治療の付加についても十分に検討が必要と考えられた。 また、マウスモデルにおける樹状細胞・腫瘍細胞ワクチンの検討ではマウス膵癌細胞に対し、ワクチン療法の有用性が認められた。放射線や粒子線は免疫担当細胞の集積性向上に関連することも報告されており、今後、粒子線療法とワクチン療法の併用への可能性も示唆された。以上より膵癌に対する粒子線療法を中心とした集学的治療の構築には、化学療法はもちろんのころ、手術療法や免疫療法などの先端治療をも加味してゆく必要があると考えられた。
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