2007 Fiscal Year Annual Research Report
門脈圧亢進症性胃症における分子機序解明と治療への展開
Project/Area Number |
18659385
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川中 博文 Kyushu University, 大学病院, 助教 (10363334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 喜彦 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80165662)
田上 和夫 九州大学, 大学病院, 准教授 (40294920)
小西 晃造 九州大学, 大学院・医学研究院, 寄付講座教員 (90380641)
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Keywords | 脾門脈外科学 / 肝硬変症 / 活性酸素種 / 活性窒素種 / 門脈圧亢進症性胃症 / MAPK / nitration |
Research Abstract |
門脈圧亢進症性胃症(PHG)における胃粘膜の脆弱性および創傷治癒障害の原因として、MAPKカスケードが障害されていることを報告してきたが、何故MAPKカスケードに異常をきたすのかは明らかではなかった。PHGにおいては、胃粘膜の低酸素化や過剰なNO産生があるため、ROS(活性酸素種)やRNS(活性窒素種)が増えており、これらがPHGの胃粘膜上皮のMAPKカスケードを修飾しているのではないかとの仮説をたて、以下の検討を行った。(1)実際にPHGラット胃粘膜において、H2O2(hydrogen peroxide)および過酸化脂質(lipid peroxide)を測定したところ、正常ラット胃粘膜に比べ、PHGにおいて有意に増加していた。また、PHGにおける過剰なnitric oxide(NO)は、非常に反応性に富むperoxynitrite(NO3-)となり、胃粘膜のnitrotyrosine染色および抗nitrotyrosine抗体を用いたwestern blottingにて、nitrotyrosilation化された蛋白が有意に増加しており、PHG胃粘膜では、ROSやRNSが有意に増加していた。(2)そこで、Coimmunoprecipitationを用いたWestern blotting(IP;nitrotyrosine、IB:nitrotyrosine or ERK)にてERKとperoxinitriteの結合を検討したところ、ERKのnitrationが増加していた。(3)ROSやRNSに対するラジカルスカベンジャーを用いた検討を行った。日常の臨床において使用可能な薬剤のなかで、強力なラジカルスカベンジャーであり胃粘膜防御因子増強作用を有するRebamipide(mucosta)が、PHGにおけるラジカルスカベンジャーとして有効かどうかを検討したところ、PHGラットのERKのnitrationが正常化し、さらにエターノール障害後のERKの活性化が正常化し、エタノール障害による胃粘膜障害度も改善した。
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Research Products
(2 results)