2006 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠時インスリン抵抗性の機序に関する分子生物学的研究ー酸化ストレスの関与
Project/Area Number |
18659484
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 助教授 (10263005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐川 典正 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00162321)
神元 有紀 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (90422865)
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (80422864)
長尾 賢治 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (70422863)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 妊娠 / 肥満 / 高脂肪食 |
Research Abstract |
最近、酸化ストレスが2型糖尿病や肥満においてインスリン抵抗性を惹起することを示す報告がなされており、特にインスリン抵抗性における重要な因子であると考えられてきている。一方、妊娠時は非妊娠時に比し酸化ストレスが増大していることが報告されており、妊娠自体が酸化ストレスの生じている状態であると考えられている。またこれら酸化ストレスが生体に作用すると防御機転が働き、種々の酸化物質に対し抗酸化物質が産生され、これら抗酸化物質の抗酸化シグナルを介し、アポトーシスが抑制されることも知られているが、抗酸化系機構の妊娠時における役割は不明である。現在我々は抗酸化系分子の一つであるthioredoxin(TRX)に着目し、TRXを全身に過剰発現するマウス(TRX-tg)を用いて妊娠時の抗酸化系機構の意義を検討している。我々はまず非妊娠TRX-tgマウスを用いて糖質代謝を検討した。その結果、TRX-tgは、WTに比し耐糖能が良好であり、その原因としてインスリン感受性が良好であることを示した。すなわち、本結果は抗酸化系機構が糖代謝とりわけインスリン感受性に影響を与える可能性を示した。膵臓のβ細胞のインスリン含有量に差がないことからもインスリン感受性に影響を与える可能性が高い。以上の結果については、現在行っている実験の結果が得られた後に論文として発表する予定である。 現在、WTおよびTRX-tgに対してhigh fat dietの食餌摂取を行い、肥満と耐糖能低下を生じたマウスを用いて、インスリン抵抗性の相違などにつき検討中である。本実験により、実際のインスリン抵抗性を生じる生体を用いて抗酸化系物質がどのように糖代謝に作用を及ぼすかにつき検討ができると考えている。現時点でWTマウスにhigh fat dietを負荷することにより、肥満と耐糖能低下が生じ、インスリン抵抗性が生じていることを確認した。今後TRX-tgマウスも使用することにより、さらなる解析を加える予定である。
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