2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌発癌機構におけるRas/エストロゲン経路の果たす役割-癌幹細胞の観点から
Project/Area Number |
18659488
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 聖子 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 講師 (10253527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 徳夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50158606)
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は、まず、ラット不死化子宮内膜細胞株RENT4を用いてHoechst33342の取り込みの低いside population(SP)細胞とnon-SP細胞を分離した(RENT4-SP or-NSP細胞)。この細胞を正常子宮内膜幹細胞のモデルとして、癌遺伝子の変異が幹細胞に入った場合と分化細胞に入った場合の造腫瘍能や生物学的特性を地較した 方法と結果1)RENT4細胞にSP細胞は存在し、不均等分裂の性質を示した。2)SP細胞とNSP細胞それぞれに活性化型[^<12>Val]K-ras遺伝子を挿入し、SP-K12V細胞、NSP-K12V細胞を樹立し、ヌードマウス上の腫瘍形成能をそれぞれのmock細胞と比較した。SP-K12V細胞は8匹中3匹に周囲組織への浸潤能の高い腫瘍を形成したのに対し、NSP-K12V細胞は8匹中1匹に被膜化された小さな腫瘍を形成した。ヘマトキシレン・エオジン染色をすると、前者は腫瘍細胞の他に間質や細胞外基質が豊富な腫瘍であったのに対し後者は腫瘍細胞が主体であった。3)SP-V、SP-K12V細胞は、NSP-V、NSP-K12V細胞に比べ、Estrogen Receptor(ER)αの発現が高かった。SP-K12V細胞は他の細胞に比べ、estrogenおよび血清刺激下ERの転写能の亢進がみられた。 結論1)癌遺伝子変異がSP細胞に入った場合とNSP細胞に入った場合の腫瘍形成能および腫瘍の性質、estrogen反応に差がみられた。2)子宮内膜幹細胞にK-ras遺伝子の変異が入った場合、estrogen依存性の造腫瘍能を獲得する可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)