2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤機能不全に対する胎児型Fc受容体を利用した新治療法開発のための萌芽研究
Project/Area Number |
18659492
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石川 源 日本医科大学, 医学部, 助手 (20287767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (60188175)
瀧澤 俊広 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (90271220)
磯崎 太一 日本医科大学, 医学部, 講師 (90223057)
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Keywords | 産科学 / 胎盤 / 胎児型Fc受容体 / IgG / アルブミン |
Research Abstract |
近年、胎児型Fc受容体が、IgGだけでなくアルブミンとも結合し、生体において、その異化から保護する作用があることが示唆されている。ヒト胎盤絨毛の栄養膜には胎児型Fc受容体が発現しており、母体血を介してアルブミンならびにIgGを担体として、選択的に胎盤への物質輸送が可能である。この研究にて、胎児型Fc受容体によるトランスサイトーシス機能を介した新規胎盤治療法開発を展開するために、先ずヒト初期胎盤を用いて胎児型Fc受容体のアルブミン保護作用を検討した. 倫理委員会の承認を得、患者さんより同意を得た後、ヒト初期胎盤絨毛組織を採取し、局在解析として抗IgG抗体、抗アルブミン抗体を用いた免疫組織化学、胎児型受容体、アルブミンのmRNA発現を調べるためリアルタイムPCR解析、蛋白レベルの発現解析として、絨毛組織の間質部分のみを切り出し,アルブミン成分に関するWestern blot解析を行った。 アルブミンに関しては,妊娠初期から絨毛間質内にアルブミンとIgGの存在を示す強い蛍光を免疫組織化学で確認した。レーザーマイクロダイセクション法により切り出された絨毛間質部分におけるアルブミンのWestern blotは、約70kDaの単一バンドとして認められ、異化による分解したアルブミンのバンドは観察されなかった。ヒト初期絨毛組織において、胎児型Fc受容体mRNAの発現を認めたが、アルブミンmRNAの発現はreal-time PCRで陰性であった。 以上の成果から、アルブミンを産生していないヒト初期胎盤において、アルブミンとIgGは母体由来としてトランスサイトーシス機能によって(胎児型Fc受容体を介して栄養膜を通過し)、胎盤組織内(絨毛間質)に運ばれていることが示された。 また、現在、GFP融合胎児型Fc受容体ベクターを作製し、メージング解析の準備を進めている。
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