2006 Fiscal Year Annual Research Report
移植ES細胞と蝸牛有毛細胞の有機的結合による聴覚機能再生
Project/Area Number |
18659499
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 壽一 京都大学, 医学研究科, 教授 (90176339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 助手 (50335270)
小島 憲 京都大学, 医学研究科, COE研究員 (60378685)
田中 信三 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90163526)
西田 明子 京都大学, 医学研究科, 医員 (30378731)
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Keywords | 高度感音難聴 / ラセン神経節細胞 / 幹細胞 / 移植 / シナプス形成 / カルシウムイメージング / 蝸牛有手細胞 |
Research Abstract |
高度感音難聴の新しい治療法として、これまで我々は細胞移植を用いたラセン神経節細胞の機能的な再生を目指して研究を行ってきた。 具体的には、これまで我々は緑色蛍光タンパクを発現するマウス胚性幹細胞(ES細胞)を神経方向に誘導し、この細胞を生後3日齢のICRマウスから取り出した蝸牛と一緒に7日間培養したところ、ES細胞由来神経から伸長した神経突起が蝸牛有毛細胞に接し、シナプス小胞のマーカータンパク陽性所見を示したことを報告した。すなわちES細胞由来神経と蝸牛有毛細胞がシナプスを形成している可能性が示唆された。 本年度は、このシナプス形成に対して機能しているか否かについて、カルシウムイメージング法を用いて評価を試みた。具体的には蝸牛有毛細胞の不動毛へガラス管からの圧変化による機械的刺激を与え、それに伴ってその蝸牛有毛細胞に神経突起を伸長しているES細胞内でのカルシウムイオン濃度の上昇の有無を測定した。残念ながら、現在のところ明らかな反応を捉えられていない。 そこで、このシナプス形成が成熟しているか否かについて更に詳細に形態的に検討を加えた。結果、一部の神経においてシナプス小胞のマーカタンパクが神経終末に限局して発現(未熟な神経では神経線維にも発現する)し、電子顕微鏡にて蝸牛有毛細胞とES細胞由来神経が接する膜でシナプスを示唆する所見を認めた。これらの結果は少なくとも一部の神経ではシナプスが成熟していることを強く示唆する。 今後、わずかな反応も鋭敏に捉えられるようにカルシウムイメージング法を更に改良して、繰り返し機能評価を試みていく予定である。
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Research Products
(5 results)