2006 Fiscal Year Annual Research Report
制限増殖型アデノウイルスベクターによる頭頚部癌の遺伝子治療
Project/Area Number |
18659500
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丹生 健一 神戸大学, 医学系研究科, 教授 (20251283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 直樹 神戸大学, 医学系研究科, 助教授 (40343264)
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Keywords | COX-2 / in vivo / 下咽頭癌 / 免疫染色 / 分化度 |
Research Abstract |
【目的】我々はこれまでにCOX-2をプロモーターとした増殖制限型アデノウイルスベクターAdCOX2がCOX-2を高発現する頭頸部扁平上皮癌に対してoncolyticな作用による抗腫瘍効果を示すことをin vitroで証明した。今回は、この抗腫瘍効果をin vivoで確認することを目的として実験を計画した。【方法】COX-2高発現扁平上皮癌培養細胞株をヌードマウスの背部皮下に投与し、マウス頭頸部扁平上皮癌モデルを作成した。腫瘍径が5〜6mmとなった時点でAdCOX-2を腫瘍内に投与し、その増殖抑制効果を経時的に観察した。LacZ遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターを同様の方法で腫瘍内に局所投与したものを陰性コントロールとして比較検討した。【結果】投与後4日目より、コントロール群と比較して、AdCOX2投与群の腫瘍の増大が有意に抑制されており、この傾向は投与後14日目まで継続して認められた。【考察】今回の実験結果から、COX-2高発現頭頚部癌に対して抗腫瘍効果を示すことがin vivoでも確認された。我々の施設で過去に治療を行った下咽頭扁平上皮癌XX例について免疫組織学的にCOX-2の発現を検討したところ、75%の症例においてCOX-2が発現されていることが判明した。更にCOX-2の発現と腫瘍の分化度との関係を検討すると、COX-2高発現の腫瘍は高分化型のものが多いことが判明した(P=0.005)。一般的に高分化型扁平上皮癌は、分化度の低い扁平上皮癌と比較して、放射線治療や化学療法に対して抵抗性を示すものが多い。今回の結果から、AdCOX2がこうした保存的治療に抵抗性を示す頭頸部癌に対する新たな治療法となりうることが示唆された。
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[Journal Article] Efficacy and feasibility of cisplatin-based concurrent chemoradiotherapy for nasopharyngeal carcinoma.2006
Author(s)
Demizu Y, Sasaki R, Soejima T, Maruta T, Okamoto Y, Yamada K, Yoden E, Ejima Y, Ota Y, Ishida H, Nibu K, Sugimura K
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Journal Title
Jpn J Clin Oncol. 36
Pages: 620-625