2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規機能性物質が眼底循環動態に及ぼす影響の生理学的・薬理学的研究
Project/Area Number |
18659506
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 重昭 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (50002382)
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Keywords | 食品 / 臨床 / 生理活性 / 生体機能利用 / バイオマス |
Research Abstract |
アスタキサンチン(AST)、ルテイン(LUT)はカロテノイドの一種であり、抗酸化作用をはじめとする種々の薬理作用が報告されている。ASTおよびLUTの抗炎症作用を明らかにするため、EIUにおけるNF-κB活性に及ぼす影響を検討した。ルイスラットにLPS投与直後に1、10、100mg/kgのASTまたはLUTを静脈内投与した。6、12、24時間後に前房水を採取し、炎症細胞数、タンパク濃度、NO濃度、PGE2濃度およびTNF-α濃度を測定した。また、LPS投与3時間後のNF-κBの免疫組織化学を行い、虹彩、毛様体のNF-κB陽性細胞数を測定した。その結果、ASTおよびLUTは濃度依存的にEIUの炎症因子を抑制した。その抑制は、LPS投与6時間後からみられることから、炎症の初期段階に作用すると思われた。これは、炎症サイトカインネットワークを支配する虹彩・毛様体におけるNF-κB活性を抑制する結果と一致した。欧米の疫学研究において、眼底循環の病態である加齢黄斑変性の予防に黄斑色素LUTの有効性が示唆されている。LUTの脈絡膜新生血管(CNV)に対する作用について、マウスのレーザー誘導脈絡膜新生血管モデルを用いて分子メカニズムとあわせて検索した。C57BL/6マウスに対しレーザー光凝固によりCNVを誘導し、LUTを光凝固照射前30分、直後、照射後30分に腹腔内投与し7日後にCNV体積を評価した。また、脈絡膜血管新生を制御する接着分子であるintercellular adhesion molecule(ICAM)-1の脈絡膜におけるタンパク発現をELISA法で検討した。その結果、LUT投与によって、実験的CNVの形成が有意に抑制された。この分子メカニズムとして脈絡膜におけるICAM-1の発現抑制が考えられた。
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