2007 Fiscal Year Annual Research Report
常染色体優性網膜色素変性原因遺伝子の発現調節を用いた視細胞変性機序の解析
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18659507
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中澤 満 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 教授 (80180272)
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Keywords | 網膜色素変性 / ニルバジピン / rdsマウス / ペリフェリン・RDS遺伝子 |
Research Abstract |
対象と方法 ヒト常染色体優性網膜色素変性の動物モデルとしてへテロ接合体のretinal degeneration slow(ヘテロrds)マウスを作成し、その病態について詳しく検討した。ヘテロrdsマウスにカルシウム拮抗薬であるニルバジピンを200日腹腔内に連日投与した。投与終子後、網膜内での遺伝子発現の変化を調べるため、マイクロアレイ法を用いて対照群との各種遺伝子の発現比を検索した。発現が増大ないし減少した主な神経栄養因子や増殖因子について定量的RT=PCR法とウエスタンブロット法により発現を確認した。また200日間のうち20日ごとに網膜電図(ERG)を測定し、薬物の網膜機能に及ぼす影響を検索した。さらに形態的な特徴を探るため、200日間投与した後の組織所見をヘマトキシリン・エオジン染色にて光学顕微鏡的に観察するとともに、細胞内の所見を電子顕微鏡にて観察した。 結果 ヘテロrdsマウスに200日間ニルバジピンを腹腔内に投与したところ、ERGのa波およびb波ともに非投与群に比べて有意に振幅が大きく、薬物による視細胞変性阻止効果が確認された。形態的観察では、光学顕微鏡的には両者の間には差がなかったが、電子顕微鏡による形態計測では視細胞外節の円板構造が投与群では非投与群に比べその数において有意に形態が保たれていた。マイクロアレイによる遺伝子発現解析では、CNTF(ciliaryneurotrophic factor)の発現がニルバジピン投与により4倍に発現が亢進し、こればRT-PCRやウエスタンブロット法により確認された。ロドプシンタンパク質の発現量も投与群において上昇していた。 考察 ニルバジピン投与によりヘテロrdsマウスの網膜変性の進行は遅延する。その分子機構としてはニルバジピン投与による内因性のCNTFの発現が亢進するためであることが考えられた。本薬剤のヒトヘの治療効果が示唆される結果となった。
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Research Products
(5 results)